【ニューヨーク25日】米国税関・国境保護局(CBP)は10月21日、強制労働に依拠した生産を行っているとして、メキシコのトマト農場に対して違反商品保留命令(WRO)を発令した。同日から、指定された農場で生産されるトマトの輸入は差し止め対象となる。
今回のWROの対象には、メキシコ中央部のサンルイスポトシ州に所在するトム農業(AgropecuariosTom)とその関連子会社からの生鮮トマトの輸入が指定され、そのほかの輸入は制限を受けない。指定された農場では、賃金の不払いや借金による束縛など、強制労働に関するILO指標の全11項目のうち5項目以上に抵触していたとされる。
労働省の国際労働局は、メキシコで強制労働の疑いの強い製品として、トマトとチリペッパーを挙げている。
今回の決定について、CBPは米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に沿った連携を強調している。CBPのトロイ・ミラー局長代行は「メキシコと築いた土台によって、北米のサプライチェーンにおける強制労働の取り締まりについて、協力的かつ多国間の対応が可能になると信じている」と述べた。
USMCAの労働章では、政府間協力に加えて、強制労働に依拠する製品の輸入を禁止する義務が定められている。