サウスLAワッツの水道水から有毒レベルの鉛検出 市のインフラ整備に不備(8/21)

【ロサンゼルス21日】サウス・ロサンゼルスのワッツ地区の水道水から有毒レベルの鉛が検出され、研究者らは、市のインフラ整備の不備が放置されていたことが原因と指摘している。

 21日に発表された調査結果によると、有毒金属である「鉛(lead)」は、近隣の公営住宅開発地の住宅から採取されたサンプルでより多く検出された。米国環境保護庁(EPA)によれば、飲料水中の鉛は、たとえ微量であっても安全とはみなされない。

 ワッツで採取された水の中には、EPAが定めた基準に従い、特別な規制措置が必要となるほど高い鉛濃度を示すものもあった。研究者によれば、これらのサンプルは15μg/L、つまり10億分の15より高い鉛を含んでいた。これはEPAが設定する措置が必要な、いわゆる”アクション・レベル”であり、インフラの補修や問題についての一般への告知が必要となる。

 コンプトンのすぐ北、2平方マイルに広がるワッツ地区は、カリフォルニア州環境健康ハザード評価局(OSHA)のマッピングツール「CalEnviroScreen」によると、カリフォルニア州で最も汚染された地域のひとつとされている。1980年代半ばに安全飲料水法が制定され、鉛パイプの使用が禁止される前に、ワッツでは鉛でできた通水パイプが家の中に設置されていた。この調査によると、家主や住宅所有者は通常、これらの腐食したパイプや蛇口などの備品を交換する余裕がないという。

 今回のワッツ全域の水質検査を求めた同調査は、ワッツ労働者コミュニティー行動委員会の環境正義部門「Better Watts Initiative」が依頼し、UCLA、USC、ミシガン大学などの研究者の協力の下、政府主導で実施された。ワッツ労働者コミュニティー行動委員会のCEOであるティム・ワトキンス氏は声明で、「きれいな水は基本的人権。このコミュニティーの健康、福祉、市民権は、ロサンゼルス市と郡の指導者たちによる何世代にもわたる怠慢によって踏みにじられてきた」と訴え、市側に答えを求めた。

 米疾病対策センター(CDC)によると、鉛が人体に及ぼす影響は、子供の場合、脳や神経系へのダメージ、学習、聴覚、言語障害、成長・発達の遅れにつながる可能性がある。成人の場合は、神経系への影響、臓器障害、男女ともに生殖機能の問題などの健康リスクに直面する可能性がある。

 この調査では、鉛はワッツにおける多くの「予防可能な健康格差」の原因とされ、中には平均寿命が周辺地域よりも14年短い地域があることも指摘。研究者の一人は声明の中で、この状況を 「公衆衛生と環境の危機 」と呼んだ。

 調査ではまた、コマース、リンウッド、コンプトンを含むサウス・ロサンゼルスの近隣地域も、同様に高い汚染レベルが報告された。

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