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この季節、公園に行くとあじさい(紫陽花)に出合えて嬉しくなる。街角で見かける美しいあじさいは心を豊かにしてくれる。あじさいが好き。6月の長雨に打たれて、けなげに咲く姿が何とも愛おしい。白、水色、青、紅とあるがやっぱり紫色が良い。
私があじさいの花を知ったのは、1960年公開された日活映画『あじさいの歌』(原作石坂洋次郎、主演石原裕次郎、芦川いづみ)を観た時。花と言えばチューリップかひまわり位しか知らなかった小学生の私は、初めてスクリーンで見る紫のあじさいの花と流れる挿入歌に魅せられる。
『あじさいの歌』作詞 滝田順、作曲 斉藤高順
花のよそおい 美しく
におうそよ風 朝露あびて 濡れた瞳に 火と燃える
心に秘めた あじさいの歌 花のかおりもかぐわしく
交わすささやき かなでる調べ
咲いたあじさい艶やかに 寄り添い歌う 幸せの歌
花の盛りを 美しく 燃える紫 ほんのり紅く
愛のしるしを ちりばめて 優しくそよぐ あじさいの歌
何とも12歳の私には理解し難い詩だったが、長年心の奥にしまってある。それともうひとつ、深窓の令嬢役で出演している芦川いづみさんの可愛かった事。余りの可憐さにドキドキして、映画の内容よりも彼女の立ち振る舞いに目を奪われてしまった。和製オードリーヘプバーンと呼ばれていたのも然り。今でも『ローマの休日』を観ると彼女を思い出す。
そんな芦川いづみさんは同じ日活の役者仲間だった藤竜也さんと結婚して1968年に芸能界を引退してしまった。あれから56年いっさい姿を見る事は無い。以前藤竜也さんとお話する機会があったので、奥様の近況をお聞きしたら「今でも一緒に寝ていますよ。それも手をつないでね。お互い突然体調悪くなると心配だから。」とのろけていた。さすが男藤竜也。これじゃ芸能界に戻って来ない訳だ。
改めて詩をみると「花の盛りを美しく 燃える紫 ほんのり紅く 愛のしるしをちりばめて 優しくそよぐ あじさいの歌」こんな想いで今まで花を見たことは無かった。おそらく皆さんは初めて聞いた曲だと思いますが、ありがたい事にYouTubeで検索できます。昭和30年代の庶民が憧れた上流階級の雰囲気が良く出ています。プライムビデオでは映画も鑑賞でき、芦川いづみさんの可憐な姿を見ることができる。考えてみると、私はあじさいの花が好きと言うよりも彼女の面影を追っているだけなのではないかと。
何かを好きになるってそんなものですよね。そう自分に納得して。今夜も6月の雨に包まれながら12回目の『あじさいの歌』観ることにします。
■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。
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