お正月の準備、まず始めにすることとは|べっぴん塾

第二回

お正月の準備、まず始めにすることとは

お正月には、日本では全国民が一様に「おめでとうございます」と挨拶をします。なぜ「おめでとう」なのでしょうか。それは、毎年各家庭にお招きしている年神様にお喜びいただくためなのです。

穀物神とも私たちの祖霊神とも伝わる年神様をお迎えし、前年の豊作と平穏に御礼申し上げ、あわせて今年の豊穣と平和をお願いするためにおもてなしをします。言葉もおもてなしのひとつ。めでたい言葉でめでたい雰囲気をつくり、年神様にお喜びいただき、福徳をもたらしていただくという「予祝」を行っているのです。
お正月の準備は、年神様をお迎えする準備といえます。

お正月の準備はいつから始めるか、ご存知でいらっしゃいますか。「正月事始め」の日、12月13日。
時代によって少し日にちが違いますが、人ごと(人間の活動)の事納め(仕事納め)を終え、神様のことを始める日として、この日からお正月の準備を開始します。

12月13日といいますと、日本ではあるニュースが流れ、私たちはそのニュースでお正月が近いことを実感します。そのニュースとは、「煤払い」です。テレビや新聞などでその様子が伝えられ、年末の風物詩となっています。神主が長い箒で社殿を掃除する姿や僧侶が大仏に登って埃を払う姿をご覧になったことはないでしょうか。「仏様に登っていいの?」とご心配になった方もいらっしゃると思いますが、大丈夫です。法要の前には、仏様の魂を抜くための法要をなさっています。
正月事始めの日に、社寺ではまずは煤払いをなさるように、ご家庭でもお正月の準備は「大掃除」から始めます。先に家の中の穢れを祓っておかなければ、その後に飾る正月飾りも穢れてしまいます。年神様もがっかりされることでしょう。年神様が家に滞在される間、気持ちよくお過ごしいただく為に場を清める。その為に大掃除を行っているのです。

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大掃除の順番は、お家の上座から下座へ。つまり、家の奥から玄関に向かって祓います。玄関から外に出した穢れが再び入ってきませんように「あること」をします。その「あること」とは。次号でお話ししたいと思います。

(12/11/2024)


筆者・森 日和

禮のこと教室 主宰 礼法講師
京都女子大学短期大学部卒業後、旅行会社他にてCEO秘書を務めながら、小笠原流礼法宗家本部関西支部に入門。小笠原総領家三十二世直門 源慎斎山本菱知氏に師事し、師範を取得する。2009年より秘書経験をいかし、マナー講師として活動を開始する。
2022年より、廃棄処分から着物を救う為、着物をアップサイクルし、サーキュラーエコノミー事業(資源活用)・外国への和文化発信にも取り組む。
https://www.iyanokoto.com

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