【ロサンゼルス29日】カリフォルニア州では4月1日から、ファーストフード店で働くほとんどの労働者の時給が少なくとも20ドルになる。
昨年秋にギャビン・ニューサム知事が署名したこの新法は4月1日に施行され、全国に60店舗以上展開するファストフード・チェーンは、労働者に少なくとも時給20ドルを支払うことが義務づけられる。これにより、同州で働く55万3,000人のファストフード労働者は、他の全産業の最低賃金16ドルを上回る収入を得ることになる。
しかし、この賃上げは激しい議論を巻き起こしており、一部のレストラン・オーナーは雇用の喪失や顧客の価格上昇を警告している一方、労働擁護派は賃上げのメリットを宣伝している。
新しい基準賃金は、マクドナルドのような大手チェーンがここ数年、大幅な収益増と利益幅の拡大を享受し、ファストフード業界が好景気に沸くなかで設定された。超党派のシンクタンクである「ルーズベルト研究所」の新しい分析によると、これはメニュー価格がインフレ率をはるかに上回っていることも一因。同研究所の分析者は、「20ドルを新しい最低賃金とすることで、労働者が家計の必要を賄えるような経済的基盤を整えることが大事」と説明する。
これまで、全米で最も賃金が高かったのは、最低賃金が時給16.28ドルのワシントン州だった。
カリフォルニアのレストラン経営者の中には、人件費の高騰は客への値上げにつながり、雇用の抑制にもつながると言う人もいる。大手ファーストフードチェーンはこのようなコストを吸収できるかもしれないが、中小の経営者は苦労するだろうとの懸念も出ている。
レストランのオーナーを代表する「Save Local Restaurants」によると、典型的なカリフォルニアのレストランは、4月1日の賃上げをカバーするために、年間25万ドルの追加出費に直面している。Chipotleの全米3,400の店舗では、それを補うために1%の値上げが行われる可能性があり、Starbucksは賃上げ分を値上げなどで相殺する予定だとロサンゼルス・タイムズ紙に語った。