映画の中で聴いていたあのメロディーが、
ロサンゼルスの夜空の下で生演奏として響く
2026年7月、ロサンゼルスの夏の風物詩であるHollywood Bowlで「Joe Hisaishi Film Music Concert」が開催されました。作曲家・久石譲さんがロサンゼルス・フィルハーモニックとともに、スタジオジブリ作品を中心とした映画音楽を披露する特別な一夜となりました。
今回のコンサートで改めて感じられたのは、ジブリ作品が日本のアニメーションという枠を超え、アメリカで一つの文化として根付いているということです。
会場を包んだ“ジブリ愛” 観客は多世代・多文化
会場を訪れてまず印象的だったのは、観客の幅広さでした。
家族連れ、大人同士の友人グループ、若い女性、ご年配の方まで、年齢層は非常に幅広く、特定の世代だけが集まっているという雰囲気ではありませんでした。
また、「アジア系の観客が中心なのでは」という予想とは異なり、会場にはさまざまな人種の観客が集まっていました。
ジブリ作品が日本文化としてではなく、世界中の人々に愛される作品として浸透していることを実感する瞬間でした。
大人が楽しむジブリ仮装 新しいファン文化の広がり
今回、特に驚かされたのが、ジブリキャラクターの仮装をして来場する大人の姿でした。
会場には「魔女の宅急便」のキキの衣装を着た女性や、「ハウルの動く城」のハウルやソフィをイメージした衣装の観客も見られました。
特に印象的だったのは、子どもではなく大人が積極的に仮装を楽しんでいたことです。
過去のHollywood Bowlでの久石譲コンサートではあまり見られなかった光景で、近年のジブリ人気の広がりや、新しいファン文化の形を感じさせるものでした。
映画音楽を“体験する”コンサートへ
今回の公演は、前回の久石譲さんのHollywood Bowl公演とは構成にも違いがありました。
今回は、前半がジブリ以外の映画音楽、後半がジブリ作品という形で、プログラムが明確に分けられていました。
また、「Film Music Concert」というタイトル通り、会場内の大きなスクリーンには映画の映像が映し出され、音楽と映像が一体となった演出が特徴でした。
ジブリ作品の映像が流れるたびに、会場からは大きな歓声が上がりました。
ただ、その反応もアメリカらしいものでした。興奮して「フー!」と声を上げる人もいれば、作品への思いを胸に静かに音楽を味わう人もいる―。コンサートを楽しむスタイルの違いも印象的でした。

久石譲さんと娘さんの共演 会場が温かい空気に
今回の大きな見どころの一つは、ゲストボーカルとして出演した歌手の一人が、久石譲さんの娘さんだったことです。
久石さんが少し照れながら英語で、
「By the way, she’s my daughter」
と紹介すると、会場からは大きな歓声が起こりました。
通常、歌手は観客の方向を見ながら歌うことが多い中、娘さんは歌唱中に何度も久石さんの方を振り返りながら歌っていました。
その姿には、親子の信頼関係や音楽を通じたつながりが感じられ、会場全体が温かな雰囲気に包まれました。
グッズ販売は控えめ、それでも広がる久石譲ブランド
会場入口には、久石譲さん関連グッズを販売する簡易的なブースが設置されていました。
販売されていたのは主にTシャツなどで、大きな展開ではありませんでしたが、ファンにとっては記念になるアイテムとなっていました。
一方で、今回のコンサートで最も盛り上がったのは物販ではなく、音楽そのもの、そしてジブリの世界を共有する体験でした。
アメリカで進化する“ジブリの楽しみ方”
アメリカでジブリを楽しむ方法は、今や映画を見るだけではありません。
作品を家族で楽しむこと、コンサートで音楽を体験すること、キャラクターになりきってイベントに参加すること―。
ジブリは、世代や国籍を超えて人々をつなぐ文化になっています。
久石譲さんの音楽が響いたHollywood Bowlの夜は、日本から生まれた物語が、アメリカの地でどれほど多くの人の心に届いているのかを感じさせる特別な時間となりました。
【関連記事】
大学出願がスマホで完結へ カリフォルニア州立大学、AI導入で進学手続きを大幅改善
気になる・・・中国の大学で大規模な学科再編 1万2000以上の専攻を廃止、AI・半導体など先端分野を強化
アメリカの 教育格差を映す「学校ランキング」 最も評価された州と課題を抱える州、その背景とは