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第二十四回
親から子へ、師から弟子へ
大切なことは「口伝」で繋ぐ日本の文化
日本では、親から子へ、師から弟子へ、大切なことは口伝えで教え授けること「口伝」を大切にしてきました。
何かを伝えて、意図とは違う受け止め方をされた時、それは伝える側の責任だと思いますか。それとも受け取る側の責任でしょうか。「口伝」では受け取り側の責任とされます。相手の言わんとしていることを察して、受け取り、もし、受け取り方が間違っていたら、受け取る側の自分が至らなかったと反省をするのです。そうすると、相手を責めることもありませんし、一層自分の受け取る力・感性を磨こうとします。今度はこういうことに気づこう、もっと注意深く見ようなど、そこには自己成長があって、諍いは起こりません。極力諍いを起こさずに理解し合うことを日本では大切にします。相手はきっとこういうことを望んでいらっしゃるだろうと察し、それに対して自分のできることを考えて尽くす。その感性がおもてなしの基本となります。つまり、おもてなしは、察する感性が磨かれていなければできないということです。
日本の建築様式は、長らく、間仕切りを扉ではなく、衝立で行ってきました。衝立は、しっかりと閉まる扉と違い、どんなに小声で話していても会話は聞こえてしまいます。その会話が聞いてはいけないことであった場合、聞いた側は聴かなかったことにするという配慮をします。人に聞こえるように話した方が悪い、ではなく、聞いてしまった者の責任として対応をするのです。
昨今は日本も扉の生活となり、中から漏れ聞こえたことは、聞いた側の責任ではなく、扉の外にまで聞こえるように話した側の責任となってきたように思います。しかし、聞こえたからといって、言っても良いことと言ってはいけないことの分別はいつの時代も大切なこと。
相手が言わんとすることを酌めなかった時は、自分の至らなさ。聞こえたことでも言ってはいけないことは言わず、聴かなかったことにする。日本独特と思いますが、先人が残した日本人の奥ゆかしい美質の一つです。

(5/22/2025)

筆者・森 日和
禮のこと教室 主宰 礼法講師
京都女子大学短期大学部卒業後、旅行会社他にてCEO秘書を務めながら、小笠原流礼法宗家本部関西支部に入門。小笠原総領家三十二世直門 源慎斎山本菱知氏に師事し、師範を取得する。2009年より秘書経験をいかし、マナー講師として活動を開始する。
2022年より、廃棄処分から着物を救う為、着物をアップサイクルし、サーキュラーエコノミー事業(資源活用)・外国への和文化発信にも取り組む。
https://www.iyanokoto.com
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