スキーセーターが街から消えた

東京にも本格的な寒さがやって来た。洋服好きにはオシャレが出来る嬉しいシーズン。私にとっても「待ってました!」の季節。

特にスキーセーターが大好き。スキーヤーがジャンプ、滑降している柄を見るだけでも心が弾む。トナカイ柄、雪の結晶柄、ノルディック柄なども見ているだけでワクワクしてくる。何枚も持っているのに毎年買いたくなる。早速今年も新作を求めて街に繰り出した。ところが何処のお店にもスキーセーターは見当たらない。それどころか若い店員さんは「スキーセーター?見たことありません。」の涼しい顔。そうなんです、街からスキーセーターが消えているのです。

この現象を考えてみた。かつて若者に絶大なる人気を誇っていたスキーだが、Z世代はやらなくなった。そのポジションにスノーボードが台頭。同時にファッションもすっかり変化。転ぶと濡れてしまうウールより軽くて暖かい素材に人気が移行し、ゲレンデではダウンウエアーが主力となった。スキープレイヤー然り。ホテルやロッジのアフタースキーのシーンでは、薄手の軽いセーターは人気があるが、悲しいかなスキーセーターを着ている人は見かけない。ネットフリックスの昔のクリスマス映画では「恋人たちがスキーセーターを着て恋を語っている」のに。分厚く重いタートルネックセーターは今や絶滅状態になっている。

先日買い物がてら銀座の街に行った時にもトナカイや雪の結晶柄の定番セーターを見ることはなかった。寂しい気持ち反面この冬も絶対着たい気持ちが沸き、新作が無理ならヤフオクで探してみたところ、これがビックリ、数年前に欲しかったラルフローレンの「スキーヤーが滑走している」セーターが低価格で出品されているではないか!人気が無いためすんなりと入札でき、即購入!普段から流行ファッションを追うタイプでもないので、ヤフオクでの発見は本当に嬉しい。

こうなると調子に乗る。これまた人気のないヴィンテージダッフルコート。アニマル柄のコート、アニマル柄シューズ、チロリアンジャケットなどが低価格で掲載されていて目移りする。これは危険だ。街から消えていた欲しい商品がネット上では山のようにある。夜な夜なヤフオクをみているとお金が追いつかない。自制心との戦いだ。とは言っても私の自制心は弱い。いつも欲望に負けてしまう。

みんなはどうしているのだろう。クリスマスも近く心ウキウキの中、抑えるのは至難の業。本当は2mの巨大くるみ割り人形イルミネーションが欲しいが、シーズンが終わった後の置き場所が無いため一旦は断念した。果たして「買い物欲我慢」が年明けまで持続できるのか。まったく予断を許さない。

 

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■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

 

 

 

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