ロボット寅さん 早く開発してくれ

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テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

Instagram: @terry_itoh

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中国で開催された「世界ヒューマノイドロボット競技大会」の映像を見た。16か国から280チームが参加、500台以上のロボットが参加して、走る、踊る、ジャンプする、太極拳、サッカーだけでなく、工場での荷物運搬や病院での薬の仕分けまで競技になった。更に消防、家事、調理なども実生活に近い環境で行われた。競技場を激走したり、派手に転んだり、回転して立ち上がる面白映像には釘付けになったが、実はこれらは今後実社会で働かせるための巨大な実験場にもなっているのだ。

確かにロボットズッコケ映像を見ていると楽しいが、反面末恐ろしさも感じてしまう。学生達に見てもらうと将来自分たちの職場がロボットに占拠され仕事が無くなるのではと、真剣に心配していた。中国を含めロボット産業の最終目標は「軍事ロボットの開発」ではないか。ロシア・ウクライナ戦争でも圧倒的有利と言われているロシアに、ウクライナが善戦しているのは高度なドローン兵器の開発に他ならない。 人間の命の代わりになると言われている軍事ロボットが戦場に導入されると、戦争自体の価値観が激変するだろう。戦争に対して世論の反発が大きい理由のひとつは「兵士死傷」のため。ドローン兵器による戦場の無人化が認知された今、ロボット兵士開発が加速する。しかし、自国の兵士の命の心配が無くなれば安易に戦争をする国が出る事も想像出来る。そうなんです、お茶の間で滑稽に走っているロボットを笑っていられるのは今だけかも知れない。

そこで提案。「人情ロボット寅さん」を作って欲しい。東京柴又帝釈天辺りの居酒屋で寅さんロボットが店の隅に腰掛けている。初めて来た客にも優しい目で話しかけてくれる。「浮かない顔をしているね、会社で何かあったのかい。それとも彼女と喧嘩でもしたのかい。」そうなんです、愚痴や悩み、将来の夢、何でも寅さんロボットは聞いてくれるのです。勿論適切なアドバイスも。自分の失敗談を交えて語ってくれる。家出少年少女もやって来るかもしれない。金は貸してくれないが始発まで付き合ってくれるはず。惚れっぽいロボット寅さんのことだから、近所の美人奥さんに惚れることも十分に考えられる。近くの老人ホームに行って昭和歌謡曲を一緒に歌っているかもしれない。夕方は江戸川の土手で矢切の渡しを眺めているのでは。 そうなんです、戦争ロボットを開発するより、日本の技術を持ってすれば、世界に先駆けて人情味溢れるロボットを完成できるはず。そんな光景を夢見て久しぶりに柴又帝釈天にお参りして来ますか。

 

(10/30/2026)

 

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