筆者・志村 朋哉
南カリフォルニアを拠点に活動する日米バイリンガルジャーナリスト。オレンジ・カウンティ・レジスターなど、米地方紙に10年間勤務し、政治・経済からスポーツまで幅広く取材。大谷翔平のメジャー移籍後は、米メディアで唯一の大谷番記者を務めた。現在はフリーとして、日本メディアへの寄稿やテレビ出演を行い、深い分析とわかりやすい解説でアメリカの実情を日本に伝える。
通信015
これだけは知っておきたい!
スーパーボウル観戦ガイド
今週日曜日(9日)は、アメリカ最大のスポーツイベント、スーパーボウルが開催されます。皆さんの周りでも、スポーツ好きの男性を中心に、この話題で盛り上がっているかもしれません。
プロフットボールリーグNFLの王者を決めるこの決勝戦は、毎年、全米のあらゆるテレビ番組で最も視聴率が高く、スポーツの枠を超えて楽しまれる国民的行事となっています。家のテレビやスマホでのんびり観戦したり、スポーツバーに行ったり、家族や友人で集まる視聴パーティーに参加したりなど、楽しみ方は人それぞれ。試合より雰囲気を楽しむ人も多いです。
エンタメの祭典
昨年のスーパーボウルは、米国内だけで1億2000万人が視聴しました。これはアメリカの人口の3分の1以上にあたります。黄金カードと言われた昨年のドジャース対ヤンキースのワールドシリーズの最終戦と比べても7倍近い視聴者数ですので、スーパーボウルの人気がいかにすごいかが分かります。生で観戦しようとなると、チケットは平均が1万ドルを超えていて、最安値でも5500ドルと、まさにプレミア価格です。
また、スーパーボウルのCM枠は、世界で最も高額な広告スペースの一つで、昨年は30秒のCMで約700万ドルでした。それだけのお金を払ってでも宣伝しようという企業が、少しでも目立とうと、スーパーボウル専用のクリエイティブな広告を作るので、CM合戦も注目を集めます。
前半と後半の休憩時間に行われる15分弱のハーフタイムショーは、毎年、豪華なアーティストが登場する音楽イベントになっています。今年は、コンプトン出身のヒップホップアーティスト、ケンドリック・ラマーが出演。こちらも試合と同じくらい注目を集めますので、どんな演出になるのか、今から楽しみです。
試合の見どころ
今年の舞台はニューオーリンズで、カンザスシティ・チーフスとフィラデルフィア・イーグルスが激突します。この組み合わせは2年前の決勝戦と同じで、その時はチーフスが残り8秒でキックで得点を決め、38-35で勝利しました。
最大の注目ポイントは、なんといってもチーフスが史上初のスーパーボウル3連覇を達成できるかどうかです。オフェンスの司令塔であるクォーターバックのパトリック・マホームズ(29歳)は、スタメンの座を獲得した2018年からチームを5度のスーパーボウルに導いていて、今や大谷翔平と並ぶ米スポーツ界の顔です。
彼の相棒ともいえるトラビス・ケルシー(35)も注目の選手です。タイトエンドとしてトップクラスの実力を誇り、さらにテイラー・スウィフトとの交際でも話題を集めています。
イーグルスの鍵を握るのは、セイクワン・バークリー(27)のボールを持って走る攻撃です。今季、NFLトップの2,005ヤード、13タッチダウンを記録し、プレーオフでも圧倒的な活躍を見せています。ただし、チーフスもNFL屈指の守備力を誇るため、この対決が勝負の行方を左右するでしょう。
試合開始は午後3時半(米西海岸時間)で、FOXで生中継されます。さらに、ストリーミングサービスのTubiでも4K画質で配信されるため、登録すればスマホやタブレット、スマートテレビなどで無料で見ることができます。
チーフスの3連覇か、イーグルスのリベンジか。エンタメ大国アメリカの象徴ともいえるスーパーボウルを、ぜひお楽しみください。
(2/4/2025)