【ロサンゼルス9日】
ケルビン波が西海岸を北上 高潮や高波と重なり沿岸地域への影響懸念
エルニーニョ現象と関連する巨大な海中波「ケルビン波」がカリフォルニア沿岸を北上しており、南カリフォルニアの沿岸地域では、洪水や海岸浸食のリスクが高まっている。
米海洋大気庁(NOAA)によると、このケルビン波は一時的に海面を約15~30センチ上昇させる可能性がある。波そのものが危険なものではないものの、高潮や強い波、高潮による水位上昇と重なることで、沿岸被害を拡大させる恐れがあるという。
現在、南カリフォルニアでは、元ハリケーン「レイチェル」による強い波の影響も続いている。ロングビーチでは大波によってペニンシュラ地区の木製遊歩道が損傷し、近隣住宅にも被害が及んでいる。 市当局は被害状況を確認し、必要に応じて避難措置を検討している。
海面下を進む「ケルビン波」とは
通常、海岸で見られる波とは異なり、ケルビン波は海面下を移動する暖かい海水の大規模な流れで、広範囲にわたって熱を運ぶ特徴がある。
この波は太平洋赤道域の西側で発生し、赤道に沿って東へ進んだ後、南北アメリカ大陸の沿岸に沿って移動する。NOAAの海洋学者マイケル・ジャコックス氏によると、ケルビン波は時速約6マイル(約10キロ)で進み、1日に約150マイル(約240キロ)移動するという。
通過時には海水温を上昇させるほか、海面を一時的に押し上げ、栄養豊富な冷たい深層水をより深く沈める作用もある。 NOAAは現在、西海岸を北上する1つのケルビン波を確認しており、熱帯太平洋にはさらに1~2つの波が存在するとしている。
高波・高潮との組み合わせで沿岸被害の可能性
ケルビン波自体は嵐のような巨大な波を発生させるものではない。しかし、通常より高い海面水位を作り出すことで、既存の沿岸リスクを悪化させる可能性がある。
特に高潮や強い波と重なった場合、海水がより内陸まで押し寄せ、浸水や海岸侵食の危険性が高まる。
KTLAの気象担当ヘンリー・ディカルロ氏は、レイチェルによるうねり、満潮、海面上昇、接近する低気圧が重なることで、週末から週明けにかけて状況が悪化する可能性があると警告している。 米国立気象局は、月曜日には約7フィート(約2.1メートル)の高潮が発生する可能性を予測している。
エルニーニョとの関係
ケルビン波は、エルニーニョ現象の発達に重要な役割を果たす。エルニーニョは、熱帯太平洋の海水温が平年より高くなる気候パターンで、ケルビン波は暖かい海水を東へ運ぶ働きを持つ。
また、冷たく栄養豊富な海水が海面近くへ上昇する「湧昇」を弱めることで、海洋環境にも影響を与える可能性がある。NOAAによると、この変化は海洋生態系の基盤となる植物プランクトンの成長減少につながる可能性があるという。
NOAAは、エルニーニョの影響により、西海岸では秋から冬にかけて、さらに春まで平年より暖かい海水温や弱い沿岸湧昇が続く可能性があると予測している。
専門家は、今後も追加のケルビン波が到達する可能性があることから、今回の高波被害が収まった後も、沿岸地域では海面上昇によるリスクへの警戒が必要だとしている。
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