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最近、街から手作りパン屋さんが減っていませんか。鎌倉から東京までの通勤の途中、3軒のお気に入りのパン屋さんが立て続けに店を閉めた。どのお店のオーナーも若い時からパン職人として頑張り、お店を出して10数年、街に溶け込んでいたのに。愛されてきたお店ばかりなのにどうして?
3店舗とも特徴があった。バケット、イギリスパンが本当に美味しく、周りの硬さと中の柔らかさが絶妙で一口食べただけで幸せになれる白金のパン屋さん。葡萄パンとコロッケパンが最高の横浜新道近くのこだわりのパン屋さん。新鮮なハムと野菜をフランスパンに挟んだ子供も大好きな鎌倉のパン屋さん。立地的な条件もあると思うが、開店してすぐ行列のできるお店も当然ある中、その差って何なのか?
閉店するご主人に聞きました。「この辺りのお客さんは普段食卓に並ぶパンはスーパーマーケットやコンビニで済ませてしまいます。食パンや人気のカレーパン、菓子パンすべて大型店舗で購入していきますね。私どものお店を利用してくれるのは月に一度くらい…。ケーキ類も販売していますが値段では勝負になりません。同じロールケーキが650円と300円、ショートケーキが700円と350円ですからね。味には絶対的に自信あるのですが、値段ばかりは…。この地域は住宅ローンも抱えていらっしゃる家族も多いですしね、お子様の養育費も。」という答えが。そうなんです、美味しいパンを提供するだけでは成り立たないのです。
確かに、コンビニのパン類やケーキは安くて普通に美味しい。修行時代から培った技術と味を継承していく町の手作り職人パン屋さんと、寄ってたかって会議を重ねて開発費掛けて頑張るコンビニ陣営。正直私も有名店の高級ロールケーキとコンビニロールケーキの価格差程の味の違いは分かりません。それどころか同じお皿に出されたら、コンビニのケーキの方が美味しいと言ってしまいかねない。
街の職人パン屋さんは今後どうしたら…。私考えました。「食の物語」を知ってもらうのはどうか。例えば、ボジョレーヌーボーはフランスのボジョレー地区でその年に収穫されたブドウで作った赤ワイン、解禁日を待ってワイン好きがカウントダウンしながら楽しみにしている。実はボジョレーの味自体は普通かもしれないが、あれ程盛り上がるのはボジョレーの物語を愛好家が楽しんでいるから。街のパン屋さんは自らのお店の素敵なストーリー作りを始めてはどうか。店名の由来、小麦粉、バター、塩のこだわりなどを物語風に紹介しては。ディズニ―風のマンガを交えるのもいいかも。
馴染みの可愛いパン屋さんが無くなるのは寂し過ぎる。本当はリーズナブルで美味しいパン屋さんが一番だけどね!
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■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。
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