新型コロナウイルスの水際対策をめぐり、日本政府はビジネス目的の入国者を対象に、企業が行動を管理することなどを条件に、自宅などでの待機期間を原則3日間に短縮する方針を固め、11月8日からすでに施行しています。
木原官房副長官は、短期ビジネス目的の入国者の扱いにおいて「3日目に検査をおこなったうえで、入国後4日目から必要な仕事や研修のための外出や指定席を利用した公共交通機関の移動といった活動を認める」と説明しました。
しかし、実際に利用した人からは「運用上かなり無理がある」「使いものにならない」という声も多く聞かれます。本来「制限緩和」がなされれば手続きが簡便になるものですが、緩和するたびに手続きが複雑になり提出する書類が増えているのです。シンプルで合理的な制度になるよう、検討が求められています(11/29時点)。
3日間隔離にできる一定の条件
- ビジネス目的の入国者であること(観光客は今回の緩和の対象外)
- 日本で有効な新型コロナウイルスのワクチン接種の証明書を提示すること
- 日本の受け入れ企業・団体などの責任者は、自身のビジネスの業所管省庁へ、誓約書・活動計画書を含む申請書式の事前審査を受けること
- 入国後3日目以降に、自主的に新型コロナウイルス検査を受けて陰性を証明すること
- 入国後4日目以降は、受け入れ責任者の管理下で活動計画書に沿った活動をおこなうこと
では、もっと詳しく見ていきましょう。
待機短縮の対象となるワクチンは?
日本が薬事承認した米ファイザー、米モデルナ、英アストラゼネカの3種類のみ。
いつから始まっているの?
受け入れ責任者から業所管省庁への申請受け付けは、11月8日(月)午前10時からすでに始まっています。(※業所管省庁とは、受け入れ責任者の業を所管する省庁のこと)
受け入れ責任者ってつまり誰?
入国者を雇用する、または入国者を事業・興行のために招へいする企業・団体のこと。原則として法人であることが必要です。※フリーランスでも3日間隔離の申請は可能です。
活動計画書は、誰が誰に出す必要があるの?
日本国内の受け入れ責任者が、特定の省庁(原則として受け入れ責任者の業を所管する省庁)に提出する必要があります。
誓約書・活動計画書とは、どんなものなの?
厚生労働省HP「mhlw.go.jp」で確認できます。
申請に必要な書類は以下です。
・「水際対策強化に係る新たな措置(19)に基づく入国等に関する申請書」・「誓約書」・「活動計画書」・「入国者リスト」・「受入結果報告」
受け入れ責任者が提出しなければならない書類って何?
申請書・誓約書・入国者の活動計画書・入国者リスト・受入結果報告
その書類はいつまでに出さなければならないの?
入国日前14日以内
審査に必要な時間はどれくらい?
厚生労働省のHPには「案件によって異なりますが、必要書類に不備がなければ、すみやかに審査済証を発行することが可能」と書かれてあります。さらに「書類に不備がある場合も考えられますので、受け入れ責任者は目安として、入国前3週間程度の余裕をもって、各業所管省庁に対して必要書類の提出をお願いしています」とあります。
入国者は、入国時に、民間医療保険(滞在期間中の医療費を補償する旅行保険を含む)または日本の公的医療保険制度に加入していることが必要とのことです。
飛行機搭乗の際必要な出発前72時間以内の陰性証明は変わらず必要なの?
必要です。
質問はどこに連絡すればいいの?
厚生労働省は8日からコールセンターを設置し、緩和の内容や書類の申請方法の問い合わせに対応しています(4つあります)。
0120‐220‐027/0120‐248‐668/0120‐110‐857/050-1751-2158
時間は土日を含めて午前9時から午後9時まで。
緩和するたびにどんどん複雑になっている?
本来「制限緩和」がなされれば、手続きが簡便になるものですが、本件に関しては、緩和するたびに手続きが複雑になり提出する書類が増えています。何が「めんどうだ」と感じさせるのでしょうか? そのポイントを見ていきましょう。(11/17 BUSINESS INSIDER JAPANから引用・参照)
4日目以降の行動内容は「事前申請」が必要
→「入国後3日待機+7日行動管理」は一般的な緩和措置とは異なります。4日目以降は「特定行動期間」となり、事前に監督官庁に対して許可を得た活動計画書に沿った行動のみが認められます。活動にあたっては、PCR検査で陰性であることが条件で、検査のための検体採取から72時間のみ有効です(検査から72時間過ぎて以降の活動再開には再度検査が必要)。
日々の活動内容や健康状態に報告義務
→健康状態の情報は、企業の受け入れ責任者が監督官庁(業所管省庁)に逐次報告する必要があります。
公共交通機関の利用制限
→特定行動期間中は、飛行機、鉄道、バス、旅客船、タクシーの利用が可能になりますが、「座席指定が可能な場合」という条件があります(タクシーは運転手との空間分離が条件)。またこれらは事前に、活動計画書に記載されている必要があります。
領収書やレシートの保管
→特定行動終了後に利用した領収書やレシートは30日間保管しておき、提出要請に備えておく必要があります。つまり「すべて事前に予約完了しておくこと」が必要なのです。活動計画書提出時点で予約ができていなくても、見込み予約を伝え、予約できた時点でその旨を監督省庁に報告しなければなりません。
受け入れ責任者が空港への出迎えをする必要あり
→対象入国者が入国した際には、受け入れ責任者がその場ですぐに合流せねばなりません。行動追跡に必要なアプリ(My SOS)がスマートフォンに導入されているか確認した上で、隔離先となる待機場所まで行動をともにしなければなりません。
会食後は、参加者全員の健康観察業務
→特定行動期間中は待機施設での飲食が基本。ですが、やむを得ない飲食店利用や会食は、原則として個室。また、飲酒は最小限、距離を確保したうえでマスク着用、会話も最小限に。活動計画書の報告では、利用店や参加人数を記載したうえで、参加者全員の会食後の10日間の健康監察もおこなう必要があります。
仕事でも人との接触は最小限に
→仕事、研修、オフィスでの活動は可能な限り、個室を用い、対人接触を伴う業務は認められていません。もし対面で会議をおこなう場合は広めの部屋で距離を確保するようにしなけれなりません。
買い物の所要時間は15分以内
→日常生活必需品の買い出しは必要最小限とし、混雑する時間帯を避けて、滞在時間は原則15分以内とされています。