サウンドミキサー
陳 明範
Akinori Chen
映画、テレビ、ミュージックビデオ、といった映像作品を作り出す現場クルーの役割は様々。クルーをまとめるディレクターのほかカメラマン、照明、衣装など多数。その中で重要な一つがサウンドミキサーの仕事。テレビ番組の制作現場でよく耳にする〝音声さん〟の仕事は、番組内で話している人の声を録音するのが主な仕事だが、サウンドミキサーは現場で音声を録音し、さらにその場で即座にミキシングしてすぐに使えるように編集者に提供する。サウンドミキサーとしてロサンゼルスを拠点に活動する陳 明範さんに話を聞いた。
現在フリーランスのサウンドミキサーとして、KXLA(CH44)テレビのトークショーや、ドキュメンタリーフィルム、ショートフィルム制作などに携わる。と聞くと、マイクやミキシング機器と四六時中にらめっこしているように思えるが、現場で一番大切なのが監督や脚本家をはじめ他のクルーとのコミュニケーションだという。「脚本を読んで、どのシーンでどんな音を録り、どの種類のマイクがいつ必要なのかなど細かく把握します。よく先輩から言われるのが、衣装担当の人とはしっかりと信頼関係を築くこと。ピンマイクを下手にセットすると、衣装さんの芸術作品を崩すことになりかねません。衣装さんと仲良くなればおのずと『手伝うわよ』と協力してくれて現場でのマイク設置がスムーズに運ぶんです」
日本で高校卒業後にすぐ渡米。カリフォルニア州立大学ノースリッジ校フィルムプロダクション学科でサウンドを学んだ。在学中より多数のプロジェクトのサウンドミキシングを手掛け修行を積んだ。
現場第一。現場に立って音作りをすることにやりがいを感じると話す。「今手掛けているドキュメンタリーの現場のように、今日はランキャスターの砂漠で撮影して、明日はサンディエゴのビーチで撮影と、移動が激しいのは体力勝負ですが、現場でみんなと一緒に作品を作ることが好きなんです」
陳さんが尊敬を抱くのが、映画『タイタニック』でプロダクションサウンドミキサーを手掛けた業界トップのマーク・ウラノ氏。「『タイタニック』を観て、どうやってこんな音が作り出されるんだろうと思ったのがこの仕事に興味を持った始まりでした。66歳、この道45年のベテランのウラノ氏が言うのは『現場での難関は常に自分に対する新しい試練だと思って、ポジティブにとらえること。それが自分を高めるのです』。彼の言葉に共感し、同じ志で現場に向っています」
現場で音録するにあたって直面する様々な困難の克服と経験により、プロの音作りが極められていく。「それぞれのロケーションにある日常的な喧騒の中から必要な音源を自分なりの工夫で拾い出し、クリアな音源の確保に努めるという経験を通して、最高の音源を提供していきたいと思います」。
ショートフィルムやドキュメンタリー作品の撮影で各地を回る。そして常に耳にはヘッドフォン、両手にマイクと録音機材。
現場では、音声を録音➡ミキシング作業が長時間続く。
ロサンゼルスを拠点にサウンドミキサーとして活動する陳 明範さん。現在フリーランスのサウンドミキサーとして、KXLA(CH44)テレビのトークショーや、ドキュメンタリーフィルム、ショートフィルム制作などに携わる。
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