上地 勝也: “特化”したものだけに力を注ぐKATSU-YA

上地 勝也
Katsuya Uechi

Katsu-ya Group オーナーシェフ

「KATSU-YAグループ」取締役会長。日本料理店「極」をはじめ、寿司や居酒屋などロサンゼルスに9店舗のレストラン、また昨年はシアトルに新店舗をオープン。独創性の高さでアメリカ人を魅了し和食ブームの火付け役としても知られる。http://www.katsu-yagroup.com

 

新型コロナウイルスを背景に、ロサンゼルスや各地の外食産業は苦境を強いられた。2020年3月のパンデミック発生時には、ロサンゼルスのレストランの売上は前年の同時期と比べて33%減少、また2020年初めから2021年の1年間の同業界での失業は12万件以上に上る。  そんなコロナ禍で、創業からの過去25年で最高の売上を記録した日本食レストランがある。LAに「極(きわみ)」やKatsu-yaなど寿司店や居酒屋9店舗を展開、昨年暮れにはシアトルに新店舗をオープンしたKatsu-ya Groupだ。オーナーシェフの上地勝也さんによると「実は、昨年3月のパンデミックによる厳しい営業規制で、4月ごろには資金が底をつきそうなほどに落ち込んだんです。これからどうなるんだろうと不安でした。その時に思ったのが、オーナーである私自身も不安だが、社員はもっと不安だろうなと。そこで社員の給与をアップしたら、みんなが喜んで頑張ってくれて。そこから5月にはテイクアウトが飛ぶように売れるようになって、すぐに店は持ち直しました」。パティオダイニング営業も好調。レイオフもゼロ。正真正銘「コロナ禍でも勢いのあるレストラン」となった。  

 

1997年にロサンゼルスで自らの店Katsu-yaを創業以来、長年、和食の概念を大切にしながら、独創性とカリフォルニアクイジーンを融合させ、食のトレンドを生み出してきた上地さん。現在、グループ全体のスタッフの数は、シェフをはじめフロントスタッフ、さらにセントラルキッチンのスタッフを合わせると500人ほどに上る。カリスマシェフとしてだけでなく鋭い才覚を持つ経営者として、アフターコロナをどう捉えているのだろうか。「これからは、簡素化の時代になってくるんじゃないでしょうか。無駄なものをはぶき、〝特化〟したものだけに力を注ぐ。より高いクオリティを極めていく努力を、私も社員も一人ひとりがしていくことにより素晴らしいものを作り上げていく。それが自分たちの誇りになるんです」

 

食をクリエイトする側の上地さんだが、各地の美味しいものを探求することにも貪欲だと自他ともに認める食通でもある。これまでも、少しでも時間が空いて日本へ帰国した際には、自分が食べたいと思う「あの店のあの料理」を求めて食べ歩いてきた。「昨年と今年はコロナ禍でもあり、日本へ出歩こうとも出歩けないのでウズウズしています。コロナが落ち着いたら、ここぞとばかりに日本を北から南まで旅しようかなと計画しているところです」。

 

「ここで働きたい」とスタッフ一人ひとりが誇りを持ち、最高の食を提供する店づくりを大切にする。

 

コロナ禍でテイクアウトとパティオダイニングが好調のKatsu-ya Groupは過去最高の売上を記録。

 

(7/6/2021)

 

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