日本のDASHI文化を世界に広める

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栗原正生
Masao Kuribara

政府公認日本食大使/レストラン経営者/和食料理人

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■10月にロサンゼルスで「HINODEYA DASHI RAMEN」をグランドオープン。日本では和食を基軸に様々な形態で食のビジネスを展開する株式会社彩々楽 代表取締役の栗原正生さん(写真中央)。ダシラーメン伝道師として、今年訪問したモルディブ共和国にて。

10月、ロサンゼルスに「HINODEYA DASHI RAMEN」がグランドオープンした。LAのほか、2016年にサンフランシスコへ進出し現在、同市に4店舗、ベイエリア3店舗、ダラスに1店舗を展開する株式会社彩々楽(ささら)。同社代表取締役の栗原正生さんに、米国での食ビジネス展開に込める思いを聞いた。「初めての米国視察の際に入った日本食レストランで、だしの効いていない味噌汁が出てきた時に、日本食の基本『だし、うまみ』の文化をしっかりと伝えたいという思いに駆られ、海外に出る『意義と目的』を見つけました。元来日本では、だしが身近で、私も幼い頃には朝食の時に祖母が鰹節を削っていたのを覚えています。時代は変わっても和食の料理人として、だしの概念を大切に受け継いでいきたい。その思いで『スープ=だし』に特化したラーメン作りに賭けることに決めました」

 1885年に埼玉県蓮田市で創業、約140年の歴史を持つ、「ひのでや食堂」の4代目として誕生した。「実家は農家でもあり、幼い頃から祖父の手伝いで農作業や家畜に餌をやったり、うどん生地の玉を足で踏んだり、白菜の塩漬けを作ったりが日常の一コマでした」。周囲から跡取りまーちゃんと言われ、将来は家業を継ぐのだろうと思っていたが、両親は「お前の人生だから、やりたいことをやれ」と応援してくれた。そんな栗原さんが大人になっていつしか胸に抱くようになったのが「料理で一番になりたい」という強い気持ち。「私が料理人になり、将来ひのでやを継ぐと決めた時に、父はそれまでみせたことのない満面の笑顔で喜んでくれたんです」

■HINODEYA DASHI RAMENのこだわりは「スープ=だし」。和食の料理人として積み上げてきた経験や技を駆使し、鰹節や昆布などをベースにいりこ、ホタテを加え、うまみを最大限に味わえる渾身の一杯を完成。日本の帆立を使った「帆立ラーメン」は、2024年のAPECにおいて岸田元首相と共に世界に向けてプレゼンされた逸品。

 辻調理師専門学校を修了後、銀座の日本料理店、吉兆に就職。ここで日本料理の真髄や茶の心、書道、器の造詣など侘び寂びの精神を学び精進した。同店は外務省や宮内庁からの料理の依頼を請け負い、その縁で外務省在オランダ大使公邸料理長を務めた。「駐在した30年前のヨーロッパは和食黎明期。海苔巻きをお出しした時に生臭いと嫌厭されたことも。しかし『栗原君、シェフの仕事は日本の外交を円滑にするための〝食の外交官〟なんだよ』の大使の一言で、日本を表現できる料理を作ることに一生懸命に向かいました』

 2006年に家業を受け継ぎ店主に就任すると同時に、会社名を株式会社彩々楽に移行。日本料理彩々楽、そばダイニング空楽、和風楽麺 四代目ひのでやなど、様々な形態でビジネスを展開。2021年には日本政府より日本食普及親善大使の任命を受け、食を通じてのグローバルな活動にも情熱を注ぐ。「ひのでや140年の歴史と自身のこれまでを支えてくださった皆様への感謝は、より多くの人々に美味しい料理で幸せな気持ちなっていただくことでお返ししていきたい。世界は広い。日本のDASHI文化の魅力を世界に広める日本食大使として世界を飛び回っていきます」。

https://hinodeyaramen.com

(11/20/2024)

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