「治す」ことへの終わらない挑戦

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清水俊太 Shunta Shimizu 

ロサンゼルス・ギャラクシー専属Doctor of Chiropractic

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■現在、ワールドカップ日本代表の吉田麻也、山根視来が所属し日本からも注目を集めるLAギャラクシー。MLSシーズンは2月にスタート。清水DCは、シーズン中は遠征にも帯同。シーズンオフには日本を訪れ、プロ選手などの治療にあたる。

 メジャーリーグサッカー(MLS)のロサンゼルス・ギャラクシー。デイヴィッド・ベッカム、ズラタン・イブラヒモヴィッチといったスーパースターが籍を置いていたことも記憶に新しい。1995年の創設以来、最多MLSカップ優勝、最多MLS首位を誇る、この全米屈指の強豪チームでメディカルスタッフを務めて20年目になるのが、清水俊太DC(Doctor of Chiropractic)だ。

 LAギャラクシー時代のベッカムやイブラヒモヴィッチのほか、MLSのオフシーズンには日本を訪れ、三浦知良や小野伸二などスター選手たちの治療を手がけたサッカー界のゴッドハンドとして知られる。その治療とはどんなものなのか。「サッカーはとても激しく身体に負荷のかかるスポーツです。その負荷がかかり続けると、関節などの動きを阻害する『瘢痕組織(はんこんそしき)』が蓄積され、怪我や慢性的な痛みにも繋がります。この瘢痕組織を治療することにより、痛みの解決や怪我の回復へと導いていきます」。症状に悩む選手の中には、キャリア年数を重ねたベテラン選手も多い。そんな選手たちの身体を治しパフォーマンスを上げることがチームの勝利、そして優勝に大きく貢献していることは間違いない。

■ホワイトハウスでの優勝記念の1枚。中段左から3番目が清水DC。中央はオバマ元大統領、その右隣りにベッカム選手。

 アメリカで生まれ、銀行マンである父の仕事の関係で、子供時代を日本やイギリスで過ごし、高校で再びロサンゼルスに戻った。「子供の頃からスポーツをするのが好きで、日本では野球に親しみ、イギリスでサッカーに出会い、サッカー大好き少年になりました」。プロを目ざすようになり、アメリカではプロ選手を多数輩出するクラブチームに入り、サッカー推薦で大学へ進学した。「大学時代、日本のJリーグの練習に参加する機会がありました。しかし、せっかくの大事なチャンスに、うまく自分の実力が発揮できなかった。そこまでの力しかなかったんだと見切りをつけ、プロになるのを断念。何か選手たちをサポートできる仕事はないかなと考えるようになりました」

 スポーツサイコロジーを専攻した大学時代には、当時カイロプラクティック医院で働いていた妻との出会いがあった。「その頃、サッカーで腰を痛めてしまって。そのクリニックで診てもらったらすんなりと治った。その時に、怪我で悩む選手たちの身体を治す素晴らしい仕事があるじゃないか!とパッと目の前の道が開けたんです」

 カイロプラクティックの大学院やインターンを経て、LAギャラクシーで治療を始めて20年。日々、骨の動きを研究し、自身の治療技術に満足することなく追求し続けている。「選手はパフォーマンスが落ちれば終わってしまう。そこをサポートするのは責任重大ですごくチャレンジングですが、選手たちの活躍が一番の喜び。自分にとっての生きがいのある仕事です」。

■LAギャラクシー時代のベッカムやイブラヒモヴィッチなどスター選手から、レオナルド・ディカプリオといったハリウッドスターの治療を手がけたことは、ロサンゼルスならではの経験。

(4/4/2024)

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