瞬間のアドリブが生む最高のシーン

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神田瀧夢
Rome Kanda

俳優

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大阪府出身。1999年にアメリカに拠点を移し、ハリウッドをはじめグローバルに俳優・エンターテイナーとして活動。 https://romekanda.com/
インスタグラム www.instagram.com/romekanda/

この男のアドリブにかかったら、間違いなくハリウッド映画の面白さが何万倍にもなる。台本をあらゆる方向から深堀りし、セリフを寝言で言えるくらいに叩き込んだうえで、本番のシーンでは鋭いアドリブを投入する。これこそが、俳優、神田瀧夢が圧倒的な存在感を放つ瞬間だ。

 ネットフリックスで配信のドラマ『Maniac(マニアック)』にドクター・ムラモト役で出演。主演エマ・ストーン、ジョナ・ヒルの同作品は、新薬の開発を進める治験が舞台。「ドクター役の僕がジョナ・ヒルに薬を飲ませようとするシーンがあって、脚本どおりに『Just take it (飲みなさい)』と言ったが、飲んでくれない。あまりにも飲まないものだから、役柄上とはいえ、僕もブチ切れて机をバンっと叩き『飲めえいうとるんじゃあ、コラぁ!』と荒々しい大阪弁で叫んだ。とっさのアドリブでしたが、結局それがシーンに採用された。監督も火花が散る緊迫感や興奮、そんなものを求めていたんでしょうね」

 先日オプラ・ウィンフリー・ネットワークで放送のシリアスな裁判ドラマ『All Rise』に出演。青年に訴えられる寿司店オーナーを演じた。「大変な裁判が終わり法廷を出る時に、訴えた青年と訴えられた僕が互いにお辞儀をして握手する感動的なシーン。本番で僕は、青年を抱きしめ背中をポンと叩く。そしてアドリブでひとこと『I’m sorry』と言って立ち去った。監督のカットの声と同時に撮影現場の全員が立ち上がって拍手喝采してくれました。あとでスタッフの人が『あなたの“I’m sorry”でみんなが泣いたのよ』と嬉しいことを言ってくれた。アメリカで人を笑わせてきたが、感動の涙を流させるまでになったんだなと思いました」

 俳優、コメディアン、司会者など様々な顔を持つ。そんな彼がコロナ禍で新たにスタートしたのがプレゼン力を高めるためのプロジェクト、称して『スターゲイト・プレゼンテーション』だ。「特に日本人は人前で喋るのが苦手。そんな皆さんが、自分の思いを自分の言葉で聞き手に伝えられるようにアドバイスをします。参加した若者は、初めは上手く喋れなかったが、卒業の時には真っ直ぐな瞳で『僕はハリウッド俳優になって、お金を貯めて、困っている子供たちを助けます』としっかりと伝えることができた。僕は涙が出るほど嬉しかった。『スターゲイト』は、一人ひとりが持つ使命や、自分の魂が本当にやりたいと思うことを見つける壮大な『旅』なんです」

 1999年にアメリカに拠点を移し、常に前を向いて進んできた。「未来で起こす最高の瞬間をフューチャー・デザインすることが大切。僕にとってその瞬間とは・・・アカデミー賞のプレゼンターが『The Oscar goes toRooooooooooome Kanda!』と叫び、僕はオスカー像を片手に英語スピーチをする。そして最後は大阪弁でこう締めくくるんです。『お父さん、お母さん、ついにやったで!』」。

 

ABC放送『I Survived a Japanese Game Show』では司会者に抜擢され世界的に注目を集めた。演技・喋りのエキスパートとして、日本やオンラインで、インプロ&ハリウッド流演技ワークショップやトークショーを精力的に開催。また新たに一般に向けて、プレゼン力を高める『スターゲイト・プレゼンテーション』プロジェクトを実施中。人前でスムーズに喋り、自分の考えをきちんと伝えられるようアドバイスを行う。「自分の魂が本当にやりたいと思うことや、可能性を見出す」こともコンセプトとしている。「スターゲイト・プレゼンテーション」のご案内は、ウェブサイト romekanda.com にて。

(11/7/2023)

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