LA郡、フェンタニルによる死亡が5年で1,280%急増(11/30)

【ロサンゼルス29日】ロサンゼルス郡公衆衛生局がこのほど発表した最新の調査結果で、合成オピオイド「フェンタニル」の過剰摂取による死者数が2021年、2016年の13倍以上にあたる1,280%も急増したことがわかった。

 フェンタニルは、ヘロインよりもはるかに強力な合成オピオイド。この調査結果では、フェンタニルが覚せい剤やその他の違法薬物に混入されて偽造薬として売られ、自覚がないままに摂取されている現状が浮き彫りになった。

 連邦政府の統計によると、全米では年間およそ7万人が合成オピオイドに関連した過剰摂取で死亡しており、その数は3年間で2倍以上に増加している。

 ロサンゼルス郡では、フェンタニルに関連した死者数は2016年の109人から2021年には1,504人に増加し、これは1,280%の増加に相当する。昨年、郡全体の過剰摂取による死亡の55%にフェンタニルが関与しており、過剰摂取で死亡した12歳から17歳のうち、大多数(92%)からこの薬物の陽性反応が出た。

 UCLAの研究者によると、フェンタニルはオピオイドに耐性のないティーンを含む人々にとって特に危険とされている。米国では、ティーンの年齢層の薬物使用が減少しているにもかかわらず、過剰摂取による死亡率は上昇している。

 ロサンゼルス郡では近年、フェンタニルの過剰摂取に関連した緊急治療室への訪問や入院も急増しているが、多くの人が治療を受ける前に死亡しているのが現状。同郡公衆衛生局のゲリー・サイ医師は、「ピルを摂取すると数分のうちに呼吸が停止する。その場でナロキソンを投与しなければ、病院へ到着する前に死んでしまう」と警鐘を鳴らす。ナロキソンは、Narcanというブランド名で鼻腔用スプレーとして広く知られている解毒剤。

 また、ロサンゼルス郡当局によると、フェンタニルの過剰摂取による死者数は昨年、白人が黒人を上回った。また、エリア別でみる死者数は、裕福層が住む地域が貧困層地域の3倍以上だったことが報告されている。

 ロサンゼルス郡当局は、フェンタニルを知らずに摂取する被害を避けるツールとして、フェンタニル混入の有無を調べる検査用ストリップの使用や、ナロキソンの使用をあげた。

 フェンタニルの過剰摂取で4年前に19歳の息子を亡くした母親のジュリ・シャマシュさんは、「フェンタニル死がまん延する今、自分の子どもは大丈夫と思っている親がいたら考えを改めて。ストレートAや陸上部のスター選手の生徒でも殺してしまうのがフェンタニル。人種や宗教、経済レベルに関係なく被害は広がっている」と警戒を呼びかけた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。