「RSウイルス」
米国疾病対策センター(CDC)は、呼吸器疾患を引き起こすRSウイルスが全米で拡大しているとして、警戒を呼びかけています。呼吸器系疾患で入院する子どもが増加しており、全米の小児病床の使用率は過去2年で最多。オレンジ郡では、郡内で子どものウイルス感染が増えており、入院や救急処置室で治療を受ける件数が記録的な数字に達しているとして、今月1日緊急事態宣言を発表しました。RSウイルスは飛沫や物の表面などを介して感染します。米国の1歳未満の子どもの気管支炎や肺炎の原因はこのウイルスが最も多く、CDCは「5歳未満の子どもが重症化しやすい」としています。国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長は「マスクを着けなくなり、人と集まることも増え、感染症の患者が急増する恐れがある」と語っています。
小児病床使用率が過去2年で最多
RSウイルスとインフルエンザ
原因による5歳未満の死亡例が確認
米国疾病対策センター(CDC)は、呼吸器疾患を引き起こすRSウイルスが全米で拡大しているとして、警戒を呼びかけています。呼吸器系疾患で入院する子どもが増加しており、全米の小児病床の使用率は過去2年で最多。11月14日に加州の保健局が発表したところによると、州内で初のRSウイルスとインフルエンザが原因と思われる5歳未満の死亡例が確認されました。
RSウィルス Q&A
Q. なぜRSウイルスが流行っているの?
CDCによると、RSウイルスにはほぼすべての米国人が、2歳までに感染しているということです。毎年5歳未満の子供の約5万8000人、65歳以上の17万7000人がこのウイルスへの感染により入院しています。そしてこのうち子供は100〜500人、高齢者は1万4000人が死亡しています。CDCは「2020〜2021年の冬のあいだはRSウイルスに触れる機会の少ない生活が長く続いたため、特に子供は免疫がついていない可能性が高い」と分析しています。
Q. いつまで警戒しなければならないの?
通常9月から感染が拡大し、春先まで続きます。今年はかつてない大流行中なので、「新型コロナウイルス」「インフルエンザ」と並んで、「RSウイルス」にも同時に注意を払う必要があります。
Q. 子供のどんな異変に注意すればいいの?
見落としてはいけないポイントは陥没呼吸になっていないかどうか、です。これは幼児が肺炎を起こす呼吸困難になった際に起こる現象で、息をする際、喉仏の下、鎖骨の上が陥没して凹んで見えるのが陥没呼吸です。勢いよく息を吸おうとすると、骨がない部分が引っ張られて陥没します。この場合、肺炎を起こしている可能性が高いので、すぐにかかりつけ医にかかりましょう。 またテキサス州小児病院ICU担当医長は「注意が必要なのは、早い呼吸や余計な筋肉を使って呼吸している場合、食欲がない場合、おむつが十分に濡れていない場合などです」と語っています。
Q.感染したらどうしたらいいの?
CDCによると「RSウイルス感染に対する特定の治療法はないが、感染した場合は、市販の解熱剤と鎮痛剤を服用し、水分を多めにとり、症状を和らげましょう。重症な場合はすぐにかかりつけ医にかかりましょう」としています。またCDCは、RSウイルス感染者が増加していることから、急性呼吸器感染症の症状があり、新型コロナウイルス感染症の原因となるウイルス検査で陰性だった患者に対し、より広範にRSウイルスの検査をおこなうことを推奨しています。
症状はコロナにそっくり・・・
RSウイルス罹患者の声
・40代主婦Y.A
・家族構成:夫、小3、小5
・ロサンゼルス在住
RSウイルスは厄介な病気
ハロウィンの日、アフターケアに子供を迎えに行ったら「遊具から落ちて右手首が痛い」と言う。私は「少し筋肉を痛めただけだろう」と意に介さなかったものの、1週間経っても痛いと言い続けるので、平日の仕事時間を避けて日曜日のurgent careに連れて行った。この選択が正しかったのかどうだったのか、今となっては怪しい。病院は思いのほか混んでいて、レントゲン検査や医師の診察など含めて半日かかった。誤算だったのは、その日に限って家族で行動していたので4人全員で病院に行くことになったことだ。結局、長時間の病院滞在がきっかけとなって、私以外の家族はRSウイルスに罹患した(私はコロナに罹った)。
RSウイルスの初期症状は、喉の痛みから始まる。小3はその後、鼻水が止まらなくなり、1日3箱以上のティッシュボックスを消費し、鼻の下は真っ赤に擦りむけ痛がり、ゴホゴホという咳や痰は1週間続いた。熱は38度超えが丸3日続き、発熱と倦怠感で学校に1週間行けなかった。睡眠時はゼーゼーという喘鳴がした(彼女は1歳時RSウイルス罹患で入院したことがある)。
小5は40度超えが2日続き、38度辺りを数日うろつき、タイレノールを投与しても熱は一向に引かなかった。食欲は減退し、思考力が低下し、麦茶しか受け付けなかったが、ある夜、無理やり食べさせたオレンジを布団の上で吐いた。学校は4日間休み発熱時は「とにかく身体中を冷やしてほしい」といわれ、デコと首には冷えピタ、顔面には濡らしたタオル、頭には氷枕、脇下には保冷剤と、思いつく限りの冷却方法をとった。熱が下がるのにもっとも苦労した。現在は熱も下がり咳もないが、唇の乾きがよくならず、口唇まわりの炎症状態が続いている。子供は唇に異常が現れやすいので注意して見るといいと思う。
もっとも長引いたのが夫である。喉の痛み、筋肉の痛み、37度台後半と38度台前半の熱が続き、常に倦怠感がある。夜眠る前は「悪寒がする」と言い、かなり着込んで寝ていた。咳は3週間経った今も続いており、体が辛い日は今でもタイレノールを飲んで対応している。
RSウイルスにはワクチンもなければ特異的治療法もないので、対症療法しかない。この時期、病院に付き添いで行くなら最少人数で行くべきだった。また手洗いとうがいは有効なので続けることを推奨する。そして最後に、コロナと似た症状なのにコロナ検査で陽性が出なければ、RSウイルスかインフルエンザを疑ったほうがいいと思う。
(11/21/2022)