観光大国日本を支える高い国際的評価 =「コロナ鎖国」からの「開国」に追い風=

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アメリカ101 第134回

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新型コロナ禍で実質的に外国人の入国を厳しく制限、とくに観光客についてはシャットアウトということで、実質的な「観光鎖国」を続けていた日本が、ようやく来月をメドに「開国」に踏み切る方針を明らかにしましたが、それにタイミングを合わせるように、「一生で訪れるべき世界で最も美しい(beautiful)国14カ国」で日本がペルーに次いで2位にランクインするなど、「観光大国」日本の素晴らしさを裏付けるようなリストが相次いで明らかになっています。終息が見通せない新型コロナ禍やロシアの軍事侵攻で蹂躙されるウクライナの悲惨が状況、インフレ高進といった暗いニュースが続く中、“祖国日本の健闘ぶり”を伝えるというのが今回のコラムの狙いです。

 

日本でのゴールデンウィークを利用して欧州などの海外旅行で出掛けた岸田文雄首相は今月5日、訪問先のロンドン金融街シティーで講演、観光客入国の規制緩和に言及、「日本は今後とも世界に対してオープンです。ぜひ日本にお越しください。最大限のおもてなしをいたします」と大見えを切ったのですが、海外での日本への評価が高いことからすれば、「開国」即、観光客の急増は間違いありません。

 

日本が「世界第2の美しい国」とのランキングを掲載したのはマイクロソフトのネット情報サイトです。世界139カ国を対象に、自然、建造物、都市と農村、国民性などを基準にしたもので、トップのペルーは、15世紀のインカ帝国の遺跡マチュ・ピチュだけでなく、ナスカの地上絵がある砂漠地帯や、アンデス山脈などの変化に富んだ地形で有名ですが、それに次ぐ2位となったのが日本です。アイルランド(3位)、タイ(6位)、ニュージーランド(8位)、イタリア(10位)といった「常連の」観光大国を抑えてのランク入りで、イノベーションで世界をリードする東京を中心としたエキサイティングな都市、自然とのバランスのとれた国土、歴史ある神社仏閣、絶品が楽しめるレストランの数々などが高く評価されたもの。

 

そして、日本を訪れるにあたってまず利用するのが航空機と空港ですが、そのいずれも日本はトップクラスです。ネットの「家族旅行ガイド2022年版」というサイトでは、「家族にとって心地よい(friendly)かどうか」という基準で、世界の航空会社36社と50の空港について格付けをしているのですが、航空会社では日本航空がトップにランクされています。①座席の座り心地 ②家族優先搭乗 ③子供向け機内食など8項目を比較した結果、2位は大韓航空、3位はオーストラリア・カンタス航空で、全日空は11位でした。

 

また空港ランキングは、①定時運航率②キャンセル率③レストラン件数④Wi-Fiサービスなど5項目を合計したもので、トップのシンガポール・チャンギ国際空港、2位のフランクフルト空港に次いで、羽田空港が3位、そして成田空港が6位です。アメリカの空港では、LAXが9位、サンフランシスコ国際空港が13位、ニューヨークJFK空港は16位です。

 

最後に「おまけ」ですが、「世界で最も住みやすい都市」ランキング最新版(2021年6月)では、大阪が2位、東京が5位となっています。世界的に権威のあるイギリスのニュース週刊誌「ザ・エコノミスト」が世界140都市を、治安、ヘルスケア、教育、インフラ、文化の5分野を基準に格付けしたもので、トップはニュージーランド最大の都市オークランド、3位はオーストラリアのアデレードで、スイスのチューリッヒ(7位)、ジュネーブ(8位)を除いては、日本、オーストラリア、ニュージーランドの3カ国がトップ10を占めています。ちなみに「世界で最も住みにくい都市」という不名誉なタイトルを授かったのはベネズエラの首都カラカスでした。観光面での日本の国際的な評価は上昇を続ける一方です。

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著者/ 佐藤成文(さとう しげふみ)

通称:セイブン

1940年東京出身。早稲田大学政治経済部政治学科卒。時事通信社入社、海外勤務と外信部勤務を繰り返す。サイゴン(現ホーチミン市)、カイロ、ベイルート、ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス各支局長を歴任し、2000年定年退社。現在フリーランスのジャーナリストとしてロサンゼルス在住。


(5/10/2022)

 

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