【ワシントン14日】パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長やホワイトハウス関係者は、経済がウイルスによる混乱から平常に近い状態に移行するにつれ、インフレは「一過性」であることを証明するだろうと語った。
しかし、アメリカに暮らす人なら誰でもわかるように、インフレは定着しているのだ。そして、経済学者たちは今、さらに悲観的なメッセージを発している。物価の上昇は来年以降も続くだろう。2/11(金)に政府は、消費者物価指数が先月は前年比6.8%上昇し、1982年以来12カ月で最大の伸びとなったと発表した。
例えば、ベーコンの価格は過去1年間で21%上昇し、卵の価格は8%上昇した。ガソリンは58%も高騰している。中古車は31%上昇。
そして、多くの労働者の給与は大幅に上昇しているが、物価に追いつくほどではない。先月の米国の平均時給は、インフレを考慮すると、2020年11月に比べて実に2.4%減少している。ウェルズ・ファーゴのエコノミストは、労働省のCPI(消費者物価指数)は「消費者苦痛指数」の略であるべきだと不気味なジョークを飛ばしている。インフレはいつまで続くのか?
消費者物価のインフレは、消費者の商品やサービスに対する旺盛な需要に企業がついていくのに苦労している限り、続くと思われる。今年610万人の雇用を創出した雇用市場の復活は、芝生の家具から新車に至るまで、アメリカ人の贅沢な買い物を可能にする。
消費者物価の高騰は、1970年代の「スタグフレーション」の再来を予感させる。スタグフレーションとは、従来の経済学ではあり得ないと考えられていた、物価上昇と高失業率の同時進行のことである。
中央銀行は、毎月1200億ドルの債券購入額を150億ドルずつ減らすことで、インフレ圧力に対抗し始めた。昨年夏に始まったこれらの債券購入は、長期金利を抑えて借入と消費を促進させることを目的としていた。しかし、インフレ圧力がFRBの予想以上に長引いているため、中央銀行は早ければ来週にも、債券購入の縮小を加速させることを発表するとの見方が強い。
そうなれば、FRBは早ければ来年前半に主要短期金利の引き上げに踏み切ることになる。
この金利は、コロナウイルスによって経済が深刻な不況に陥った2020年3月以来、ほぼゼロに固定されている。これほど早く利上げを行うことは、FRB政策担当者が2023年後半まで行わないだろうと予測していた、この夏の時点の予想よりもずっと早いことになる。