亀山 睦実: 人間とヒューマノイドの恋愛描く『12ヶ月のカイ』世界はどう捉えるのか

 

亀山 睦実
Mutsumi Kameyama

映画監督

     

ノアド株式会社にてディレクターとして勤務。映画の監督・脚本や、CM・TV・MV・2.5次元舞台のマッピング映像演出など、様々な映像作品の企画・演出を担当。主な映画・ドラマ作品は『ゆきおんなの夏』『追いかけてキス』『マイライフ、ママライフ』『12ヶ月のカイ』『ソムニウム』等。

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自身の最新作『12ヶ月のカイ』が、クイーンパーム国際映画祭’211stQTR外国映画賞・脚本賞で金賞、アリゾナのフェニックス映画祭・国際ホラー&SF映画祭のSFコンペ部門で最高賞を受賞するなど、世界から注目を集める亀山睦実監督。  

同作品は、人間の女性とヒューマノイドの恋愛を描いた作品ではあるが、「SF映画」であるとジャンルをひとくくりにできない奥深さがある。「この作品は、もともと私がテクノロジーと人間の関係性をもとにした物語に興味があって、実像的な世界の中に未来が入り込んでいるような世界を描きたくて制作しました。しかし、作っているうちに自分自身がこの作品は、SF映画なのか、ヒューマンドラマなのか、ジャンルが分からなくなってきた。

そんなこともあって、様々な海外の映画祭に出してみたらどんな評価をいただくだろうか、皆さんからの声をもとに『12ヶ月のカイ』はこんな作品だ、ということを自分が知りたいと思ったんです」  

『12ヶ月のカイ』 クイーンパーム国際映画祭’211stQTR外国映画賞・脚本賞にて金賞受賞、フェニックス映画祭・国際ホラー&SF映画祭のSFコンペ部門にて最高賞受賞、英国スコットランドWorld Of Film Festival Glasgow で女性視点作品賞を受賞のほか、今後も海外の映画祭に出品を予定。 https://www.facebook.com/12monthsofKAI/

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フェニックス映画祭審査員でサイファイ部門ディレクターのマイケル・スタックポール氏は、同作品についてこうコメント:この作品は、我々が今現在どこにいて、この先何を選んでいくべきかという課題の提示そのものだ。自分たちの現在地を気づかせてくれる作品だ。 「この作品は、観る人によって捉え方は様々だと思います。人間とテクノロジーとの関わりについて考える人もいれば、女性の生き方に問題を見出す人、人種の問題について考える人もいるかもしれない。今週出席するサイファイ・ロンドン映画祭では、現地の人たちの目にこの作品がどのように映るのかが楽しみですね」  

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現在、東京を拠点に、クリエイティブチーム「ノアド株式会社」に所属、様々な映像作品の企画・演出を担当する亀山監督。2016年に同社に入社し、どっぷりと映像の世界に浸かる。「中学生の頃、映画『踊る大捜査線』のメイキング映像で撮影現場を見た瞬間、『この人たちの仕事は楽しそう!こんなところで働いてみたい』と思ったんです。映画によって使う撮影機材や特殊メイクが違ったりするのも面白い。それが映像制作に興味を持った始まりでした」  

大学卒業後、一旦テレビ制作の仕事に就いたが転職。映像制作と全く離れた時期もあった。「自分の先入観からか、映画作りや何かを作る時に、いろんな仕事や経験をすると見識が広がり作品に深みが出るのでは、という考えがありました」  

映画『12ヶ月のカイ』監督・脚本:亀山睦実。あらすじ:東京でウェブデザイナーとして働くキョウカは、日常生活を共に送れるヒューマノイド「パーソナル・ケア・ヒューマノイド」のカイを手に入れる。彼女はやがてカイに「物として以上の感情」を持ち始め、二人は命を生みだしてしまう。彼らは人間とヒューマノイドなのだろうか。それとも、女と男になってしまったのか。

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現職に就いて今年で6年目。2022年には、『12ヶ月のカイ』と『マイライフ、ママライフ』の両作品が日本での劇場公開を控えているほか、現在『12ヶ月のカイ』の海外受賞の模様や、日本の映画監督のキャリアにまつわるドキュメンタリーを制作中。インディペンデントでの映画作りがグローバルへと広がっていく展開から目が離せない。

 

 

(10/22/2021)

 

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