プロスノーボーダー
片山 來夢 |Raibu Katayama
ただひたすら好きなことをやり続けている。W杯で優勝した。初出場となった平昌五輪では7位入賞した。でも、「何のためにしてるとかじゃなくて、ホントにもうただ楽しいって感じですね。ただスノーボードがしたいだけ」。それがスノーボード選手の片山來夢さんだ。今年5月、カリフォルニア州マンモスマウンテンで実施されたUSチームのキャンプに参加した。各国の代表選手しか参加できないこのキャンプでは唯一の日本人だったが「楽しかったです。けっこうワイワイして。なんか、楽しかったです」と、まったく臆さない。
2週間のキャンプが終了すると、英語の勉強のためにLAへやってきた。「語学学校は、正直思ったより大変。毎日ギリギリ終わるぐらいの宿題が出てます。でも楽しいからいいです。しかも自分のためになってる」。好きなこと、そのために役立つことに対しては努力を惜しまない。スノーボーダーの試合以外の主な活動は撮影だが、「動画もアメリカ発だったり海外発のほうが影響力が大きいし、自分もそれを見てあこがれた。生き残っていくためにはこの先英語は絶対必要になる」。雪のないLAでは、学校が終わるとすぐにスケートパークやサーフィンへ。「スケート、サーフィンも横乗りなんで、スノーボードを意識して板に乗るというか。でも今は、単純にスケートとかサーフィンが楽しいからやってる感じです。趣味だけどスノーボードにもつながる」。いろいろなことに興味があるものの、ベースはスノーボード。芯はぶれない。
スノーボードを始めたきっかけは父だった。「お父さんが趣味でやっていて、おれは最初は全然楽しくなくて。お父さんがお母さんを説得する口実のために2歳ぐらいから連れていかれてた(笑)」。しかも、現在主戦場とするハーフパイプは「大嫌いだった」。ジャンプやパイプのないスキー場で育ち、ハーフパイプがどういうものか知らなかった。遊びで初めてトライしたとき大クラッシュし「もうやんない」と思った。1年ほど経ってから再チャレンジ。これが意外と楽しかった。そして2週間後に初めて出場し6位に入ったハーフパイプの大会で、優勝した平岡卓(ソチ五輪銅)ら同世代の選手を目の当たりにし、「こんなやつらいるんだ」とモチベーションが高まり、すっかりハマった。
ソチ五輪後に18歳で初めて日本代表チーム入りした。たとえ代表であろうと、気持ち的には変わらない。「有意義ではあります。選手と情報交換したりアドバイスし合ったり。それがスノーボードのいいところだと思う。大会でも敵対心はなくて、いい滑りを決めたら称えるしリスペクトする」。五輪やX GAMESで勝つことも目標だが、「その上で自分の撮影とかのシーンで魅せたい。めちゃくちゃ深く考えてるわけじゃないんですけど、やっぱりスノーボードしてるのが楽しいんで。そんな重く考えたりしない」。ただ楽しいことをやる。それが〝來夢流〟の武器だ。
「何のためにしてるとかじゃなくて、ただスノーボードがしたいだけ」と話す片山來夢さん。
好きだからこそ、真剣に取り組む
スケートボード、サーフィン以外では料理も趣味だといい、以外な素顔を見せる
マンモスマウンテンでのキャンプに参加後は、LAへ英語の勉強のためにやってきた