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Vol.44 ▶︎「ガタ・ボカ・ドーン」初めて走るキャンピングカー
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アメリカでキャンピングカーをレンタルすると聞いて、まず思い浮かべるのは、ハリウッドのコメディー映画で見かける、汚水の処理ではないだろうか。慣れないキャンピングカーでの家族旅行。嫌々ついてくるティーンエイジャーの子供たち。お父さんが家族にいいところを見せようと張り切る。汚水の処理の場面でホースから “Sh*t” が噴き出す。お馴染みの光景だ。誇張されたコメディー映画なので、まさか実際に ”Sh*t” が噴き出す事はないとは分かっている。それでも、手や足に着くぐらいのことはあるかもしれない。 出発前には、使い捨てのビニール手袋をたくさん用意した。キャンピングカーをピックアップする際には、念のため汚水排出の仕組みを聞いてみた。どんなことを聞いたかというと、トイレの汚水は単に重力で流れ出るのか、あるいは機械的に圧をかけるのか、と言うこと。
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相手をしてくれたレンタカー会社の若い女性は、「このおっさんマジ?映画の見過ぎじゃない」、みたいな笑みを浮かべて、重力のみだと教えてくれた。これで一安心だ。 まぁ、こんな感じで、慣れないキャンピングカーを借りるにあたっては、いろいろと心配な事もあるだろう。そこで、アメリカ西部キャンピングカーの旅【番外編】として、私のキャンピングカー初体験でのハプニングや、気づいた点をお話しよう。 今回の旅の行程はというと、先ずはキャンピングカーをソルトレイクシティーでピックアップ。レンタル期間は8日間。宿泊場所は、初日は決まっていなかったので、行き当たりばったり。その後、グランドティトンで3泊、次いでイエローストーンで3泊で計7泊8日。正確にはロサンゼルス・ソルトレイクシティ間の往復1000マイル(1600㎞)を自家用車で移動する日数を加えて9泊10日の旅だ。 ソルトレイクシティでの引き渡しの手続きは簡単だった。出発の1週間ほど前にイーメールでレンタカー利用の手引きビデオのリンクが送られてきていた。ちゃんと見たかとの問いに、イエスと答えると。「それじゃ、分かってるわね。マニュアルは車の中にあるから」と、キーをくれた。その間、なんとわずか数分。あっという間に手続きが完了した。次いで自家用車から荷物や食料を移し、いざ出発。 ちょっと緊張しながら駐車場を出て車道へと向かった。歩道との段差を乗り越えたとたん「ガタ・ボカ・ドーン」という物凄い音。何が起こったことかと仰天した。
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初日の宿泊はフリーウェイ脇のレストエリア
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その後、走り始めても車内は相変わらずうるさい。快適な車内を想像していただけに、現実とのギャップは大きかった。アメリカで車を運転したことがある方なら知っていると思うが、一般的な道路の舗装状態は日本ほど良くない。かなりデコボコしている。 ちょっとした段差を乗り越えるたびに、ガタガタ・ギシギシ・ドンドンという凄まじい音。車内に備え付けられている電子レンジや冷蔵庫が、外れて落ちて来るのではないかと気が気ではなかった。一時間も走ると、バラバラになる事はないと分かったが、そう簡単に慣れるものではない。 今回レンタルした車両は長さ6.1m。おそらく2トン・トラックより少し大きいくらい。幅は日本のトラックより広めだが、運転中はまったく気にならなかった。唯一苦労したのは、バックアップカメラなしでの駐車場からの出入りくらいだろうか。 さて、この相棒となるキャンピングカーとどんな旅が待っているのか、否が応でも期待が膨らみ顔に笑みが溢れるのであった。
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(1/3/2023)
Nick D (ニックディー)
コロンビア、メキシコなど中南米での十数年の生活を経て、2007年よりロサンゼルス在住。100マイルトレイルラン、アイアンマンレースなどチャレンジを見つけては野山を駈け回る毎日。「アウトドアを通して人生を豊かに」をモットーにブログや雑誌への寄稿を通して執筆活動中。