トランプ政権の対カナダ・メキシコ関税、自動車からアボカドに至るあらゆるコストを押し上げる可能性(2/3)

【ロサンゼルス1日】トランプ政権が、メキシコとカナダからの輸入品に25%、中国からの輸入品には10%の追加関税を課す公約を実施するにあたり、アメリカ人は、インフレに喘ぐ中、自動車からアボカドに至るあらゆるものに対してさらに多くの代金を支払うことになるかもしれず、懸念が高まっている。

 関税が大幅に引き上げられた場合、そのコストはアメリカの消費者や企業に転嫁される可能性が高い。

 米国に持ち込まれる農産物の20%以上はメキシコ産で、アボガドを含む輸入果物、野菜、ナッツ類の価格が高騰する可能性が高い。特にアボガドは約90%がメキシコ産。米国農務省によると、2023年に米国がメキシコから輸入した農産物は、新鮮なイチゴ、ラズベリー、トマト、牛肉など450億ドルを超える。米国はまた、メキシコ産ビール、テキーラ、その他の飲料や蒸留酒も輸入している。

 また、米国農務省によると、米国は2023年、カナダから牛肉、豚肉、穀物、ジャガイモ、キャノーラ油を含む農産物を約400億ドル輸入しており、25%の関税は、これらすべての製品の価格を押し上げる可能性がある。その他、米国がカナダから輸入しているのは、石油、木材、木材、セメントなど。トランプ大統領は、原油や天然ガスなどのエネルギー資源には10%の関税を課すとしている。

 アメリカの消費者は、カナダやメキシコで製造された、あるいはそれらの国から輸入された部品を使用した自動車を購入することが増えている。「S&Pグローバル・モビリティ」によると、2023年に米国がメキシコから輸入した自動車と小型トラックのコストは690億ドル、さらにカナダからは370億ドルにのぼった。

 その上、約780億ドルの自動車部品がメキシコから、200億ドルがカナダから輸入されている。例えば、フォードの「Fシリーズ・ピックアップトラック」に使用されているエンジンはカナダ産。「TDエコノミクス」によれば、米国の輸入業者は関税の追加分を車両価格に転嫁すると予想されるため、米国の平均自動車価格は約3,000ドル上昇する可能性があるという。「ケリー・ブルーブック」によれば、平均的な新車価格はすでに5万ドル、平均的な中古車価格は2万6,000ドルになっている。

 さらに、ノースカロライナ州立大学のラジャン・パラジュリ准教授(森林経済学・森林政策学)によると、米国で使用される針葉樹材の約3分の1は毎年カナダから輸入されている。カナダ産木材に25%の関税をかけると、「供給ショック」を引き起こす可能性があると、業界団体の森林資源協会は12月のブログで書いており、「木材に関しては、アメリカは国内の消費需要を満たすためにカナダの供給を必要としている」と述べた。

 それでも、住宅ローン金利が依然として7%近くにとどまっているため、米国の住宅市場は低迷しており、企業が木材価格の上昇を通じて新関税を転嫁するのは難しいだろうと、一部のエコノミストは指摘している。

 「オックスフォード・エコノミクス」は1月31日付のリサーチノートで、「木材価格は上昇すると予想されるが、米国住宅市場の回復が鈍く、価格上昇の負担が大きいため、輸出企業が価格上昇分を転嫁できる範囲は限定的だろう」と指摘している。

 コーネル大学のウェンドン・ザン助教授(応用経済学・政策学)によれば、米国の消費者にとってコスト上昇は痛みを伴うかもしれないが、最も大きな影響を受けるのはカナダとメキシコの経済だという。25%の関税をかけた場合、カナダとメキシコはそれぞれ実質GDPの3.6%と2%を失う可能性がある。

 

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