パリ2024オリンピック体操男子団体がリオデジャネイロ大会以来2大会ぶりに金メダルを獲得。前回の東京オリンピックで中国に0.103点差で敗れた悔しさを晴らし、0.532差で中国に逆転勝利した。おめでとう体操JAPAN! 私は感化されやすいタイプ、TVのスポーツ中継を見ていると、すぐその気になって体を動かしたくなる。マラソン、野球、空手、サッカー、スケート、ボウリング、サーフィンなど中継が終わると同時に家を出て行くことも。しかし体操は絶対に無いと言うか有り得ない…。
改めて体操競技を見ると、床、あん馬、吊り輪、跳馬、平行棒、鉄棒のどれを見てもレベルが高すぎてマネの仕様がない。床運動をみてもせいぜい私ができるのは布団の上ででんぐり返しするか、壁に向かって逆立ちするくらい。あん馬は、あん馬台の角に膝をぶつけて倒れるのが落ちだ。吊り輪は持ったはいいがそのまま動けずベランダに干された洗濯物状態になるのが目に見えている。跳馬は助走の段階で足がもつれて跳馬台にも届かず転倒、仲間に救助される。平行棒も腕力が無いので最初から平行にならない。一番厄介なのが鉄棒、競技が始まる前にスタッフの手を借りて鉄棒に手を添えるが、直後に落下する。仮に上ったとしてもその時点で力尽きる。
古くはウルトラC・ムーンサルト、後方片手車輪から、アドラー、現在最高クラスのGにランクされているカッシーナなどの超難易度高技など、宇宙旅行に一人で行くより無理。更に団体競技におけるプレッシャーがどれ程大変なものか。今回日本の絶対的エース橋本大輝選手が二種目のあん馬で落下してしまった。しかしそこからの立ち直りが凄かった。「引きずっていたが、仲間が背中を推してくれた。」絶対に諦めない気持ちで最終種目鉄棒に向かう。自らの演技で勝敗、金メダルを手にするかが決まる。実力と共に凄まじい精神力が求められる。勝利インタビューで「今回の金メダルは私自身だけでは絶対に獲れなかった。仲間の力です。」と甘いマスクに微笑みを浮かべて話す。仲間と勝利を分かち合える団体スポーツの素晴らしさに感激したが、改めて体操競技は見るものであって自分では無理だと痛感。スポーツ競技は沢山あるが、一番身体能力が必要なのが体操ではないかと思ってしまう。彼らはいつの時点で体操競技を志したのか。小学校時代にすでに自分の才能に気づいていたのか興味深い。
東京は猛暑で屋外スポーツをする環境じゃない。そんな訳で私は冷房の効いたスポーツクラブのランニングマシンに乗りながら、オリンピック、パラリンピック日本選手の応援に専念する。頑張れニッポン!
■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。