道なき道を駆けめぐる 生涯アドベンチャー

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出口 岳 Gaku Deguchi a.k.a. Nick D

ランナー

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■自身にとって初の著書『アメリカ大自然を走る』(つむぎ書房)を出版した。暗闇と静寂、長く暗い夜を走り抜け、ようやく迎える朝の光。刻一刻と変わる景色、空気、温度、身体の状態、浮き沈みする心の動き、対峙したマウンテンライオンの目づかいに至るまで、克明にトレイルランを綴ると同時に、自身の人生を包み隠さず正直に語っている。

 「走ることが嫌い」だった一人の男がアラフィフに突入したあるとき、走ることに目覚めた。ひょんなきっかけで参加したハーフマラソンを走り切ったことで火がつき、フルマラソンを完走。トライアスロン最高峰アイアンマンレースを完走するまでのウルトラアスリートに進化していった。そのランナーがさらに切り拓いた境地は、アメリカ大自然の道なき道を駆けめぐるトレイルランだった。

 ランナーの出口 岳さんが初の著書『アメリカ大自然を走る』を出版した。ページをめくると、秘境の地を一歩一歩踏みしめながら前へ進むトレイルランのリアルな世界が綴られている。

 ランナーのもうひとつの顔は、日系大手企業に長年勤めるビジネスパーソン。「平日の朝は暗いうちに起き出して家の近くをランニング、帰宅して家族みんなで朝食。これが一日のスタートです。週末は近場の山中を20キロほど走るのが習慣になっています」。抜群のワーク&ライフバランスを謳歌する人間形成はどのようにされたのか。そもそも大がつくほど走りが嫌いだったはずでは…。

「走るのが嫌で、中学・高校のマラソン大会は仮病を使ってさぼったり、体育の短距離走もわざとのんびり歩いて先生に怒られたり。ただ自然に関しては、親父が登山が好きで、子供の頃によく山登りに連れて行ってもらいました。生まれは東京の東村山。ザリガニを採ったり、友達と野山を走り回っていた田舎の坊主でした」。中学になるとバレーボール部に入ったが辞めた。「練習が辛くて。部活は長続きしないし、勉強も好きじゃない。両親ものんびりとして『勉強しなさい』とも言わない。高校卒業後は専門学校に入ったもののつまらなくて。ひたすら根性がなくて何も続かないんです」。仕事に就いてもすぐ辞める、悶々と過ごしていたバブル期、ふらりとアメリカのジョージアへ。そこで知り合った仲間のつてで南米コロンビアへ渡り、隣国のエクアドルやペルーなどを数年放浪して回った。

 著書は、アラフィフでの大自然への挑戦を綴りながら、交互に自身の生い立ち、二十代前半の南米放浪、二十代後半からの14年にわたるメキシコ現地会社員生活、結婚と家族、ロサンゼルスでの日系企業駐在などを振り返る。時空と共に章を読み進めるうちに、年輪を重ね、たくましさを増していく人間の強さを見出すことができる。アラフィフで予測もしなかったラン挑戦との出会い。人生こそが究極のアドベンチャーであることをうかがい知ることができる。

 2019年にはグランドキャニオンの南北リム往復「リム・トゥー・リム・トゥー・リム(R2R2R)」を走破した。「偉大なグランドキャニオン。そこに自分がポツンと入ると、自然の営みというものを体感できる。一番底まで行くと、そこは18億年前の地層。そんなところに走っていけるなんて、宇宙的な感覚が味わえる。何回行っても感動しますね」。

■出口 岳さん著書『アメリカ大自然を走る』
抽選で5名様にプレゼント!詳しくは次号5/24号にて。お見逃しなく。

■書籍購入はこちら
https://www.amazon.co.jp/アメリカ大自然を走る-出口岳/dp/491109351X

(5/15/2024)

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