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春になり草花も色づき、街も華やかになってきた。陽気につられて丸の内のオフィス街を歩いていると、前から4月に入社したばかりの新入社員と見られる真っ黒いスーツ姿の10数名の男女の集団を発見。会社のユニホームではなく、皆同じ様なスーツ。女子はスカートではなく多くがパンツスーツ。ネクタイを締めている人は一人もいない。皆さん初々しいのに黒の礼服のようなスーツがフレッシュマンぽくない。何か変な感じがした。
世界中の新入社員で黒いスーツで会社に出社する国があるか調べると、集団で着用しているのはどうやら日本だけ。何故こうなってしまったのか不思議だ。何時から新入社員イコール黒スーツになったか。2000年頃から巷では「リクルートスーツ」という言葉が流行し浸透していったらしい。当時こんな服装マニュアルが。「新入社員は黒、紺、グレーの3色から選ぶのが基本です。この3色から選びましょう。黒色は堅実さや誠実さを感じさせる色であり、見る人に落ち着いた印象を与えます。紺色はフレッシュな印象、グレーはややカジュアルな印象が強くなり、あか抜けた印象を与えます。」とアドバイスを与えている。
そうなんです、誰が言い出したか分からないが、こんな勝手な個人の主観が学生の間に広まってしまったのです。学生からしてみれば希望の会社に入社したい、面接で印象を良くしたいと思えば堅実で誠実な組織に役立ちそうな「黒スーツ」を選びますよね。会社の人事も悪い。ファッションセンスが無いため黒スーツにNGを出す勇気もない。自由なフォーマルスーツを推奨したら社員の服に対する考え方や感性、個性、日常生活の背景まで読み取る事が出来るはずなのに、実に勿体ない。勿論ファッション業界などは実施しているが。
実は昨年卒業した大学院仲間に、いつもヒョウ柄のコートを着て目立っていた女性がいたのですが、その乗りで上級国家公務員の試験を受けて見事合格してしまった。いつも派手な服装なのに何故合格出来たのかを聞いたところ「面接官曰く、これからの日本には君みたいなユニークな感性を持つ人が必要と言われた」と本人もビックリ合格で、現在総務省でバリバリ働いている。総務省やるね。そうなんです、変革が大事なんです。黒色ばかり着ていると鮮やかな色彩の洋服に手を出す勇気が無くなってくるし、センスも衰えてしまう。家のインテリアも超無難になっていき、クローゼットも味気無くなる。勿体ない。
新入社員の皆さん、将来社長を目指すなら2着目のスーツは明るめのグレースーツがお勧めですよ。エ!社長なんかになりたくない!? 6時になったら私家に帰ります? 失礼しました。
■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。
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