USCが卒業生総代のスピーチ中止を発表 親パレスチナ論を懸念、治安維持を優先(4/16)

【ロサンゼルス16日】USC(南カリフォルニア大学)が来月行われる卒業式で、卒業生総代の「valedictorian」に選ばれていたイスラム教徒の学生、アスナ・タバサムさんのスピーチを、親パレスチナの内容が含まれる可能性があり安全面への懸念があるとして、キャンセルすると15日に発表した。中東紛争が深刻化し、ロサンゼルスでも各地でデモが行われる中、USCの決断をめぐり賛否両論が出ている。

 USC側は、 タバサムさんのソーシャルメディア上での中東紛争に関する見解で反ユダヤ主義と反シオニズム的な考えがみられたことを問題視したと思われる。アンドリュー・ガズマン学長は、「連邦規制に沿い校内の治安維持を優先せざるを得ない」と述べ、決して「言論の自由」に関しての決断ではないと説明した。

 タバサムさんはbiomedical engineering(医用生体工学)専攻。

 この発表を受けて「ロサンゼルス在米イスラム系協会(CAIR-LA)」は声明を出し、USCが決断を取り下げてタバサムさんのスピーチを許可するよう求めた。CAIR-LAを介し声明を出したタバサムさんは、「反イスラムと反パレスチナの支持者が、私の人権に対する妥協のない信念を問題視した」と述べて強く批判。4年間の大学生活のゴールを達成した気持ちを家族や教授陣、友人らに伝えられないことに大きなショックを受け、母校が下した決断に憤りを隠せないでいる。

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