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北垣戸 和恵
Kazue Kitagaito
南加県人会協議会会長
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日本時間の1月1日に発生し石川県周辺に大きな被害をもたらした能登半島地震から1ヶ月が経つ。
地震発生当時、自宅のあるロサンゼルスからシアトルに住む次男のもとを訪れていたという北垣戸さん。突然流れてきた故郷石川の地震のニュースを聞き、ショックで何が起こったのか理解できない状態に陥ったと話す。「石川の実家の母や妹にLINEで電話しても繋がらなくて、次の日にやっと連絡がついたんです。妹夫婦と姪はちょうど外出しており、母は自宅で一人だったところ地震に遭遇。傾きかけた家から母を助け出し、家族で避難所に行きましたが避難所は1300人の人々が詰めかけて逼迫状態だったそうです」。実家の家族に怪我はなく自宅は倒壊していないものの住める状態ではないため、現在は同じ町内にある孫の家に身を寄せているのだという。
「母は90歳を越え要介護4の身。お世話になっていたデイケアも地震の影響で休業、断水もずっと続いている状態。厳しい寒さの中で住み慣れた自宅に帰れないことが、高齢の母には体力的・精神的負担となっています」。混乱の続く被災地に帰郷するにも危険が伴うため、LAから未だ帰ることができず、いたたまれない不安の中で過ごす。
北垣戸さんの実家のある石川県七尾市和倉温泉は、能登半島の中央部に位置し、今回の地震で大きな被害を受けた。「私は七尾で生まれ、高校で金沢に移るまでこの街で過ごしました。七尾は向こう側に能登島が見えて湾になっているとても穏やかな場所で、実家のすぐ側に海のある小さな観光地。子供の頃、夜に観光客の人たちがカランコロンと歩く下駄の音を聞きながら、眠っていたのが懐かしいですね」。海の幸が豊富に獲れる七尾は、今の時季は寒ブリが美味しいのだそう。「地元では、嫁ぎ先に寒ブリを毎年贈るという風習も。古くからのしきたりを大切にする風流な街でもあります」
結婚して渡米し、長年LAに暮らす北垣戸さん。現在、南加石川県人会の会長を務めると同時に、2023年・24年度は南加県人会協議会の会長に就任。「38の県人会が加盟するNPO団体『南加県人会協議会』は、今年60周年の節目を迎えます。戦前から続く歴史の長い県人会もあります。それぞれの県に素晴らしい伝統文化がありますから、この南カリフォルニアの県人会を通して、その尊い産物が次世代にうまく受け継がれていけるように取り組んで参ります」
現在、南加県人会協議会では、南カリフォルニアからより多くの支援を届けるため能登半島地震の義援金の募集を行っている。「南加県人会協議会では、その被災地の復興や人々の救援のために、加盟38県人会と一丸となって義援金を募り、被災地に送りたいと存じます。なにとぞ、皆様からの心のこもったご支援を切にお願い申し上げます」。
(1/30/2024)
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