演じる楽しさとは 新しい何かに気づく瞬間

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野本蓉子
Yoko Nomoto

女優/日本舞踊家

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映画・舞台をはじめ幅広く活動する女優・日本舞踊家の野本蓉子さん。
インスタグラム @hasire_ yoko

 ロサンゼルスには世界中から俳優の道を求めて人々がやってくる。それは単にハリウッドがエンターテイメントの世界最高峰だからというわけではない。様々な人種や異文化が渦巻くアメリカだからこそ、多様性に富んだ作品に出会える。役者にとってそんな醍醐味を味わえる境地でもあるのではないだろうか。

 日本からLAに活動拠点を移して約1年半の女優、野本蓉子さんもオーディションを重ねながら役者としての新たな可能性を切り拓こうとしている。昨年は、人種差別や性被害など社会問題を含むメッセージ性の強い作品に複数出演した。ゴードン・バック監督による短編映画作品『Remembrance(リメンバランス)』では、少女の時にレイプ被害を受け、大人になった今もそのトラウマに苦しむ主人公ニーナの母親役を演じた。「深刻な問題を抱えるシリアスな役を演じたことで、自分がその役のイメージに偏見を持っていたり、自分が演じる人物やその周りを取り巻く人々の心の中を理解していなかったことに気づかされました。悲しいとか辛いという視点でしか見ていなかったのですが、その反対に、明るく生きていこうとする希望とか、家族への愛情とか幸せとか、そんな前向きさが作品に描かれているということを周りのキャストやクルーと話していて気づいたり、教わることがあった。いろんな人と作品を作ることで新しい何かに気づける瞬間がすごく好きで、演じることを続けているのかなと思います」

「芝居をする心と日本舞踊へ向かう心。この二つには通ずるものがある」と野本さん。どちらも自身にとって大切な軸となっている。


 神奈川県横浜市出身。幼い頃からファンタジー小説が好きだった野本さんだが、当時は引っ込み思案な性格だったという。「小学2年生の朗読の授業で、昔話を読んだんです。化け物が出てくる壮大な物語なのに、クラスのみんなは棒読みばかり。つまらなくて、居眠りしてる子も。私はこの面白い物語を周りのみんなと同じように棒読みするか内心悩みながらも勇気を出して、化け物になりきって迫力たっぷりに演じたら、周りの子たちがすごくウケて笑ってくれた。それが嬉しくてお芝居に興味を持つようになりました」

 中高は演劇部に入り、大学卒業後は旅行会社に勤務した後、劇団ひまわりに入団。人形劇団の一員として全国の小学校や地域の公民館などを回る1年間の巡業を経験した。「子供に人気の人形劇を上演したところ、地域によって反応が全く違う。大阪だと大爆笑して立ち上がる子がいたり、東北だと静かにじっくりと観てる子が多いとか。芝居っていうのは観る人それぞれに見え方や感じ方が変化するナマ物なんだと、作品を作る楽しさを発見しました」

昨年は社会的題材をテーマにしたメッセージ性の強い映画や舞台作品に出演した。写真は、舞台『A Weekend of Ten “Lil Bro”』のワンシーン。


 劇団ひまわり時代から日本舞踊を始め、昨年12月にはLAのホリデーフェスティバルで演舞を披露するなど日本舞踊家としても活動を広げる野本さん。現在脚本の執筆にも挑戦中。2024新年もエンジン全開でスタートだ。

(1/3/2024)

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