知っていますか。12月から青森県五所川原市と中泊町を結ぶ津軽鉄道で冬景色の中をストーブ列車が走ることを!青森の冬の風物詩です。一番列車では地元の名物「ごしょ山宝汁」も振る舞われる。乗客は車窓を流れる冬景色を眺めながらストーブの上であぶったスルメと日本酒を楽しむことが出来る。吹雪の中ぬくもりを乗せて2024年3月末まで運行される。毎年の事なのだが、都会でせわしなく生きている私にとってこれ程乗ってみたいと思う列車は無い。オリエンタル急行よりもこの時期心誘われる。
私の妄想は膨らむ。流れているBGMは八代亜紀の『舟歌』で決まり!イヤ、石川さゆりの『津軽海峡冬景色』も外せない…。さすらいの旅人になりきって無口で1人窓の外を眺める。飲めない日本酒も飲むつもりだ。隣りの席に座る訳あり美人との出会いも当然予想される。一夜限りの恋…あるかも知れない。夢は広がりっ放し。そうなんです、ストーブ列車は銀河鉄道999と同じ大人のロマン列車なのだ。この非日常が気持ちをワクワクさせてくれる。
これって都心を走る山手線でも出来ないのか。土曜日限定オールナイト列車をやって欲しい。雪景色はないけど、美しい夜景がある。食も侮れない。深川名物のあさり汁、練馬の煮大根、東京湾でとれた海苔や青柳が出されたら涙もん。酒癖が悪い連中もいるので酒は程ほどにして。車内には東京にちなんだ歌が流れる。こんな楽しい列車なら海外からの観光客も大喜び。乗車料金設定は安めにしたい。
最近外国の方が沢山日本に来てくれている。嬉しいのだが、それに付け込んで料金設定を高くしてぼったくるお店が増えているのも現状。いつか観光客の皆さんに気がつかれてしまう。今こそ本来の「おもてなし」の姿を見せたい。話は東京オールナイト列車に戻すが、原宿駅辺りを通過する度に人工雪を降らせるのも一大イベントになる事間違いない。雪を見る機会が少ない国から来た人は大喜びしてくれるはず。以前私もTV番組の「お洒落な街自由ケ丘に雪を降らせる」という企画で地元の皆さんに喜ばれた事を思い出した。やっぱり非日常が面白い。
ところで最近車購入した。34年前のレンジローバー。ヴィンテージ過ぎてこれが走ってみないとその日の調子が分からない。機嫌が悪いと平気で突然止まってしまう。窓など既に開かない。機嫌が良いと最高に気持ちよく走ってくれるのだが…危なくて仕事には乗って行けない。運転中はいつもハラハラドキドキ。そこが良いのだ。「壊れない国産車」よりも断然楽しい。皆さんも自分の周りの非日常見つけてみては。
いつの日か青森ストーブ列車に乗って旅したい。
■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。