YOSHIKI 10周年ワールドツアー“REQUIEM” 現地レポーターが見た感動のロサンゼルス公演

YOSHIKI
9年ぶりのクラシカルワールドツアー

悲しみに向き合い続け生み出した音楽が、私たちに示すものとは

2023年10月20日 ロサンゼルス公演 @The Dolby Theatre

10月7日の日本公演を皮切りにロンドン、ロサンゼルスで公演、10月28日のニューヨーク・カーネギーホールで幕を閉じた『Yoshiki Classical 10th Anniversary World Tour with Orchestra “REQUIEM”』。ロサンゼルス公演はハリウッドに位置するThe Dolby Theatreで行われた。同会場では毎年アカデミー賞の授賞式が開かれていることで有名だ。

開演時刻が近づくと、オーケストラメンバーがステージに現れ、YOSHIKI作曲の「Amethyst」が演奏された。会場が徐々に暗くなる中で、誰もがYOSHIKIの登場を心待ちにしていた。弊誌のインタビューでも語っていたように、今回のコンサートでは映像や照明にこだわりが見られ、登場前には彼のこれまでの功績をまとめたビデオが映し出された。

真っ赤なくるぶし丈のコートに身を包み登場したYOSHIKIを、観客は万雷の拍手で迎えた。会場に向けて手を振り、ステージ中央に置かれたピアノに静かに腰掛けた彼は、そのまま「Tears」の演奏に取り掛かった。数曲続けての演奏で会場を引き込んだのち、マイクを取って挨拶した。

第一部では、各パフォーマンス後にMCパートがあり、英語でジョークが交わされるなど、観客を和ませた。また、X Japanの代表曲である「Forever Love」ではバレリーナが登場するなど、エンターテインメント性の高いパフォーマンスも披露された。

第二部は自身の代名詞ともいえる激しいドラム演奏で幕を開けた。チャイコフスキーとグレツキの曲をオーケストラの生演奏をバックに、フルセットのドラムのパフォーマンスで観客を魅了した。

ツアータイトルにもなった「Requiem」の演奏前には、昨年亡くした最愛の母についてのエピソードを交えた。「母が亡くなったとき、涙が止まらなくて気が狂いそうになった。何人もの医者に診てもらったけど、一向に良くならなかった。でも、この曲を書き始めたら、悲しみがエレルギーに変わったんだ」。そう話し、演奏を開始したYOSHIKIだったが、演奏の途中で涙を流す場面も見受けられた。

続いて、「僕は父と母だけでなく、大切なメンバー2人を失いました」と語り、X JAPANのギタリスト、HIDEの急逝後に作曲した「Without you」を披露した。オーケストラとピアノ演奏だけで構成されたこの2曲は、本コンサートでも特に胸を打つ演目だった。

スクリーンには、生前のHIDEとTAIJI、東京ドーム公演を成功させた若きX JAPAN、そしてHIDEの葬儀の映像が映し出された。会場からはすすり泣く声が聞こえた。

YOSHIKIの演奏は、まるで魂を削りながら演奏しているかのようだ。愛する人を失った悲しみや苦しみから目を背ける方がずっと簡単なはずなのに、YOSHIKIは決して逃げずに向き合い、音楽へと昇華し続けている。「音楽という芸術を追求していくことが自分の使命」だと語り、それを全うするために時にもがき苦しみながら彼の全てを捧げているようにみえる。

「LAに来てから、母と一緒に過ごす時間が少なかった。僕は本当にいい息子だったのだろうか?」と吐露したYOSHIKI。この言葉は日本を離れ、異国で生活することを選んだすべての人に共通する思いであろう。隣に座っていた女性は、彼のこの言葉に涙を流し、私の腕をつかんで「お母さんは絶対に彼のことを誇りに思っているのよ」とつぶやいた。終演後、彼女に話を聞くと、なんとこのコンサートで初めて彼のことを知ったという。彼女は彼の生い立ちも、母親を亡くしたことも知らなかった。それでも、YOSHIKIの音楽と演奏する姿から明確なメッセージを受け取っていた。

YOSHIKIの音楽と彼の生き様は、挑戦に伴うあらゆる痛みや苦しみにも耐え、人生を精一杯生き続けるよう多くの人を励ましている。

Set List
ACT 1
1. Amethyst
2. Tears
3. Angel
4. Miracle
5. Forever Love
6. Kiss the Sky
7. Anniversary

ACT 2
1. Tchaikovsky – Serenade For Strings (Drum solo)
2. Górecki – Symfonia Pieśni żałosnych (Drum solo)
3. Say Anything
4. Tchaikovsky – Swan Lake
5. Red Swan
6. Requiem
7. Without You
8. Mendelssohn – Opus 13 in A-minor
9. Art of Life
10.Endless Rain  

作曲家、ピアニスト、ロックドラマーであり、ロックグループ「X JAPAN」と「THE LAST ROCKSTARS」のリーダーである。米Consequence誌の「日本の歴史上最も影響力のあるミュージシャン、作曲家の一人」に選ばれ、米ビルボードは「音楽の革新者」と評した。米ゴールデングローブ賞の公式テーマソングを作曲するなど、ワールドワイドなプロジェクトを行っている。音楽活動だけでなく、着物ブランド「YOSHIKIMONO」のデザイナーとして、また日本人男性として初めて「VOGUE JAPAN」の表紙を飾るなど、ファッションアイコンとしても活躍。非営利公益団体であるYoshiki Foundation Americaの創設者でもあり、長年にわたり慈善活動に取り組んでいる。

YOSHIKI オフィシャルサイト:https://www.yoshiki.net/
YOSHIKI YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/yoshikiofficial
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