みたらし団子が食べたくなった

 あの白玉粉で出来て櫛に刺さったみたらし団子が無性に食べたくなる。私、学生時代、千代田区九段上の甘味処「初音」でアルバイトをしていたくらい甘いものが大好きなんです。普段は主に洋菓子を好んで食べているが、勿論和菓子も嫌いなわけがない。何故かみたらし団子の名前の由来を知りたくなった。

 「みたらし団子」を漢字で「御手洗」と書くのは、手洗い(神仏を拝む際に手を洗う場所)に由来するらしい。京都左京区の下鴨神社の御手洗祭に氏子が作っていた団子が元になって、のちに境内の茶屋で売られるようになり全国に広がっていったそうだ。面白いので他の和菓子の名前の由来も調べてみた。

 「おはぎ」は餅を使った菓子。菓子の表面に小豆の皮が浮かぶ様子が、萩の花に似ている事から「御萩」と呼ばれるようになったとか。ちなみに春の彼岸に作るのは「牡丹餅」(ぼたもち)。季節の花にちなんで呼び分けるのは日本人ならではの繊細な季節感の表し方だと感心する。何気なく食べていたおはぎだが、由来を知ると嬉しくなる。

 「どら焼き」は、その名前の通り、打楽器の「銅鑼」(ドラ)から来ているようだ。銅鑼と形が似ている説と、銅鑼を熱して生地を焼いていたなどの説がある。江戸時代にどら焼きの原型と言われる助宗焼きが登場したが、現在のどら焼きとは見た目が大きく異なり、現在の形になったのは明治初期。当初は一枚の皮であんこを包んでおり、銅鑼を忠実に再現したため真っ平だったが、その後西洋から伝来したパンケーキ、ホットケーキの影響を受けてふっくらとした形に定着した。和菓子の歴史に興味も膨らむ。

 「心太」と書いて「ところてん」と読むなんて、恥ずかしながら知らな過ぎた。テングサ(当時は凝海藻と呼んでいた)を煮て溶かして濾して型に流し固めたもの。心は「凝る」が転じたもの、「太」は太い海藻の意味らしい。私はてっきり「ところ天」だと思っていた。知らなかった…毎週コラムを担当しているのに無知過ぎでした。

 こうなったら恥ずかしいついでに「ショートケーキ」の由来を調べたところ、英語のショート(short)にはサクサクする、壊れやすいの意味があるらしい。大正時代、日本で独自に開発された頃には上質なスポンジが無く、壊れやすく繊細なケーキだったのでは。

 改めて名前の由来を知ると、より味わい深く食が堪能出来る。どうですか、今夜辺りDinnerの後のデザートのケーキのルーツを調べては。食卓が盛り上がりますよ。

 

 

 

■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

 

 

 

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