飛行機や空港で感染する人急増 「溶連菌」と「コロナ」(8/31)

【ロサンゼルス30日】CDC(アメリカ疾病対策センター)は、全米の新型コロナ感染者のなかで新たな変異株「EG.5」の割合がもっとも多くなったと明らかにしました。7月から徐々に「EG.5」株が増えて、8月19日時点でそのシェアは20.6%となっており、もっとも流通している変異株となっています。「EG.5」はこれまで割合の多かった「XBB系」のオミクロン株の派生型で、劇的な変化ではないとしていますが、今後、全米で感染拡大が懸念されています。

 ロサンゼルス郡では、新型コロナ感染症の数値が5週連続で上昇しています。カリフォルニア州の新型コロナのサイト(covid19.ca.gov)によると、症状を訴えて病院を訪れる人は1日平均336件。バケーションシーズンにおける旅行や学校が始まったことなどがその理由と考えられています。

 CDCが挙げている新型コロナの代表的症例は以下のとおりです。
・発熱または悪寒
・咳
・息切れまたは呼吸困難
・倦怠感
・筋肉痛や体の痛み
・頭痛
・味覚嗅覚の喪失
・喉の痛み
・鼻詰まりや鼻水
・吐き気または嘔吐
・下痢
(参照:CDC「Symptoms od COVID-19」)

 WHOの報告書においても「EG.5は有病率の増加、成長優位性、免疫逃避性(過去の感染で得た免疫やワクチンで得た免疫を回避する可能性)を示しているが、重症化しやすい傾向があると報告されていない」としています。(参照:WHO 「EG.5 Initial Risk Evaluation, 9 August 2023」)

▼溶連菌について
 この夏、日本からロサンゼルスに戻る際、新型コロナを発症した人に取材をしました。症状として、喉の強い痛みと倦怠感があったが、熱はそれほど高くなかったとのこと。8月18日病院に行くと「非常にこの2つが流行っている」という医師の見立てで、溶連菌と新型コロナの検査をしたそうです。どこが似ていて、どこが違うのか検証します。

溶連菌とは?
 溶連菌のなかにもA群、B群、C群、G群など複数の種類があり、その中でもA群溶血性連鎖球菌による感染症が90%を占めます。大人から子どもまでかかる病気。典型的な症状は「発熱とともに喉の奥が真っ赤に腫れ、イチゴのようなぶつぶつが現れる(その名も苺舌)」。全身に紅斑(こうはん)と呼ばれる真っ赤な発疹がみられる場合もありますし、頭痛や腹痛、首にあ
るリンパ節が痛くて腫れるといった症状が出ることもあります。

 溶連菌には、咳や鼻水、鼻詰まりの症状は出ないことが多いという特徴があります。

 溶連菌は、抗生剤が効果をあらわします。治療を開始して24時間以上経つと、他の人にうつさなくなるくらい菌の量は減少しますが、合併症あるいは再発を防止するために、1週間〜10日間、症状がなくなっても薬を服用し続けることが大切です。

 

<溶連菌と新型コロナの違い>

参照:https://south22-clinic.com/blog/hemolytic-streptococcal-infection/

溶連菌感染 新型コロナウイルス
感染性/感染経路 非常に強い/接触または飛沫感染
潜伏期 2~4日 1~14日間、平均期間は5~6日
症状 全身倦怠感(けんたいかん)
発熱
唾を飲み込むとのどが痛い
のどや扁桃腺が腫れ、口の中に白い部分がみられる
咳やくしゃみがほとんど出ない
鼻水、鼻詰まり等の症状があまりない
腰、肘、膝、足など比較的大きい関節の痛み
初期症状)平均して5~7日間程度
鼻水や咳、発熱、喉の痛み、筋肉痛や体のだるさなど
嗅覚・味覚障害を訴える人もいる。
他には、鼻づまりや鼻水、頭痛、痰や血痰、下痢など
重症化せず軽快する方は、およそ80%
初期症状が5~7日間で軽快せず重症化すると、肺炎を発症
治るまでの期間 抗生剤を飲むと、2~3日ほどで解熱、のどの痛みも改善する。 軽症であれば7日程度
治療方法 抗生剤を10日間 対症療法が中心
肺炎に進展した場合は抗ウイルス薬、血栓予防の抗凝固薬、免疫の暴走を抑えるステロイド薬。人工呼吸器など

溶連菌感染症では、強いのどの痛みという局所の症状が強く発熱を伴うことが多いです。それと比べると新型コロナウイルスの症状が非常に多彩です。

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