特別取材!ジェニー・オー:LAドジャース ・・アドミニストレーション/シニアディレクター|ドジャースと企業を繋いで25年

米国ニットータイヤ presents Weekly LALALA Special Interview

ドジャースと企業を繋いで25年
アジアへの理解深める新たな
ミッションも

ジェニー・オー Jenny Oh
ロサンゼルス・ドジャース グローバル・パートナーシップ・アドミニストレーション
&サービス シニアディレクター

ロサンゼルス・ドジャース グローバル・パートナーシップ・アドミニストレーション&サービス シニアディレクターを務めるジェニー・オーさん。

 1883年創設、140年の伝統を持ち、MLB屈指の人気・実力の高さを誇るロサンゼルス・ドジャース。1958年に本拠地をNYブルックリンからロサンゼルスに移し、1962年に現在の場所に球場をオープン、名声を高め華々しいチームに成長していった。過去10年の間では、2013年から西地区8連覇、2020年ワールドシリーズ優勝を果たし、観客動員数については、2019シーズンにMLBで最高の3,875,656人を記録、総収益ランキングでも常に全リーグのトップレベル。チーム運営とプロスポーツビジネスの両方で成功を収めている。この「ビジネスサイド」をリードするのがパートナーシップ部門だ。プロスポーツ業界におけるパートナーシップでは広告目的だけでなく、企業・団体とスポーツチームが積極的に意見交換を行い、お互いの目的や目標、価値をシェアしながら事業を共に創り上げていくことに重点が置かれている。

 ドジャース勤続25年、グローバル・パートナーシップ・アドミニストレーション&サービス部門のシニアディレクターを務めるジェニー・オーさんは、国内外のパートナー企業と球団を繋げる役目を担ってきた。「シニアディレクターとしての私の役割は、ドジャースの収益事業で提携するすべての企業パートナーの管理です。パートナー企業と我々ドジャースが事業を共創することにより、双方がブランド力や市場での発信力を高め収益に繋げることができているか、また企業が我々とのパートナーシップに満足しているかを確認します。私たちの業務は多岐にわたり、例えば、センターフィールドプラザに設置された企業の看板広告も私たちの部署が担当。看板広告を出す企業にとって、テレビや球場でドジャースの試合を観る観客にどれだけ自社ブランドをアピールできるかが大きな狙いです。ですが、球場内には看板を出せる場所が少なく、看板広告をむやみやたらに立てると景観を損なうことにもなりかねない。伝統ある球場の姿を大切にしつつ収益を上げるのが難しいところでもあります」

ドジャー・ブルーの大谷を熱望

 ドジャースといえば今、エンゼルス大谷翔平選手の移籍先として最有力であることが大いに注目されている。「大谷選手は球界最高峰であり史上最高といえる選手ですから、ドジャースを含め多くの球団が彼を獲得することを熱望しています。収益事業サイドの視点でみると、彼に興味を示しているのは球団だけではなく、スポンサー企業も、そして大谷選手を観たいファンの方々も大谷選手がドジャー・ブルーのユニフォームに袖を通すのを楽しみにしておられることでしょう」。1995年に契約を結んだ野茂英雄以降、多くの日本人選手の在籍歴を持つドジャースだが、ここ最近は日本人選手が不在の状態だ。「我々は球団組織としてアジア諸国に多くの価値を見出してきました。なので、大谷選手や他の日本人選手にも積極的に目を向けています。8月、ドジャースは韓国人のチャン・ヒョンソク投手と正式に契約しました。今年韓国の高校を卒業して渡米したての19歳です。彼の活躍にも大きな期待が寄せられています」

フロントオフィススタッフや、仕事を共にする人たちと。(写真中央がジェニーさん)

韓国と日本にルーツを持つアンジェリーノ

 生まれも育ちもロサンゼルス、韓国系アメリカ人のジェニーさん。父は日本人とのハーフ、自身は日本人クオーターだ。未だ訪れたことのない日本と韓国に旅行することがバケットリストのトップにあると話す。母が野球ファンで、子供の頃は弟も連れてドジャース観戦に行ったり、もともと体を動かしたり音楽も好きなアウトドア派。活動的に伸び伸びと育った。「今もそうですが、子供の頃から食にも興味を持っていました。特に韓国料理や日本食、多国籍料理が好き。家族や親戚が集まる特別なイベントの時には、テーブルに並ぶ伝統食を楽しむのが一大イベントだったのを覚えています」

 大学時代はUCLAで学び、NBAのロサンゼルス・クリッパーズやドジャースでのインターンを経て、最初はドジャースのチケット部門で正社員として採用された。「入社当初は様々な担当を経験しました。特にチケット部門では、学校やユースグループのためのグループチケットの手配、一般来場客へのカスタマーサービスなども経験。それによりコミュニケーションスキルや、トラブルに対して責任を持って解決に臨むマネジメント能力を養うことができました」

 ドジャースに入り、パートナーシップ部門に携わるようになって四半世紀。同部門のシニアディレクターに就任して11年になる。プロスポーツのビジネス畑でエネルギッシュに走り続けられる理由は何なのだろうか。「私は間違いなく自分が行きたかったポジションに辿り着けた。それがこれほど長く続いている理由だと思います。企業の役員や商品担当者など本当に幅広い方々と一緒に仕事をしてきました。そこで厚い信頼関係を築き上げてきたことは私にとって尊い財産です。それと、情熱!チームを愛しスポーツを愛すること。チームに対する情熱を持ち続けることがエネルギー源になっています」

新たなミッション

 そんな彼女には、ドジャースで働くアジア系アメリカ人として新たなミッションがある。「ドジャース内には、同じ特質や価値観を持つ職員らが主導となって運営するビジネスリソースグループがあり、私は『アジアン・プロフェッショナルズ・ビジネスリソースグループ』のエグゼクティブスポンサーを務めています。現在ドジャースには一般管理職にアジア人の人材がいますが、意思決定を行い組織をリードできる上級管理職のアジア人がいません。女性やアジア人の指導者がもっと活躍し、さらには経営者レベルの高いポジションにアジア人が就ける野球界を作り上げ、異文化やアジアへの理解を深めていくことをゴールとしています」

球場内のドジャー・ブルーのウォールの前で、友人ファミリーと。
ロサンゼルス・レイカーズの八村塁選手と。

(8/29/2023)

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