チップ率、「もっとも太っ腹」なデラウェア州 「一番ケチ」はカリフォルニア州

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アメリカ101 第184回

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アメリカ全土50州の住民のうち、「もっとも太っ腹」なのはデラウェア州で、「一番ケチ」なのはカリフォルニア州だそうです。レストランやバーなどでの、顧客によるサーバーやバーテンダーへのチップの過少を比較した業界紙が伝える数字ですが、今回のコラムは、そんなアメリカでの「チップ最新情報」です。

日本で生まれ育って、初めてアメリカを訪れて直面するひとつの“関門”が、さまざまな場面で直面するチップの慣習をめぐる困惑です。空港からタクシーでホテルの向かうとすると、まずチップをどうするかが頭に浮かびます。ホテルに着いてからも、複数のスーツケースを帯同していれば、ホテル・ポーターの助けが必要です。海外に出掛ける準備として、旅行慣れした知人や旅行ガイドブックで、行き先でのチップ情報を仕入れるのは必須ですが、出発のバタバタで、詳しい情報は忘れてしまい、海外で実際にチップを渡す場面では、頭の中が真っ白になり、外国人に日本人は「ケチ」と思わるのも癪に障る(しゃくにさわる)ので、多めの現金を手渡す羽目に陥るという経験を
した人も多いでしょう。

4月27日付のロサンゼルス・タイムズ紙(LAT)に「A new tipping point Feeling more pressure to leave gratuity」(新たな転換点:より多くのチップへの圧力感)という見出しの、全文1800字近い長文の記事が掲載されています。コロナ禍でチップをめぐる状況が変わったかのか、あるいは変わらなかったのかを記事にまとめたものです。アメリカでは長年にわたり、「レストランでは税金を除いた領収書の金額の15%ないし20%」「バーではドリンク当たり2ドル」「タクシーは10%」「ホ
テルで新たなベッド・シーツを敷いたケースでは5ドルないし10ドル」というのが相場だったものの、コロナ感染拡大下で、サービス業に従事する人々への感謝の意味もあって、「tipflation」(チップのインフレ)ということで、チップ水準が上昇傾向にある点に焦点をあてています。

アメリカではサービス業界で働く未熟練労働者を念頭に、各州レベルで最低賃金(時給)が設定されており、現時点では、最高の時給はワシントン州の15ドル74セントで、カリフォルニア州は2位の15ドル50セントです。これに対して、最低はジョージア、ワイオミング両州の5ドル15セントにとどまっており、大きな格差が存在します。それぞれの住民がレストランを利用する際に、このような事情を咀嚼(そしゃく)していれば、チップの多寡にも影響を及ぼしていくのかと思うわけですが、そのあたりは、あまり関係がないような数字となっています。

業界紙「Restaurant Trend Report」の調べでは、時給が高いワシントン州のレストランでのチップ率は18・2%で、きわめて平均的な数字です。しかし時給が2位と高い水準のカリフォルニア州は17・5%で、全米で唯一17%台にとどまるという最低水準です。物価が高いために、渋いチップの比率となって思われますが、とにかく、統計的には「カリフォルニア住民はケチ」ということになりましょうか。一方チップ率が最高なのはデラウェア州の21・8%で、以下インディアナ、ワイオミング両州の20・8%です。

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著者/ 佐藤成文(さとう しげふみ)

通称:セイブン

1940年東京出身。早稲田大学政治経済部政治学科卒。時事通信社入社、海外勤務と外信部勤務を繰り返す。サイゴン(現ホーチミン市)、カイロ、ベイルート、ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス各支局長を歴任し、2000年定年退社。現在フリーランスのジャーナリストとしてロサンゼルス在住。


(5/2/2023)

 

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