2023年カリフォルニア州の新しい法案 ジェイウォーキングOKや忌引き休暇の延長など(1/4)

【ロサンゼルス4日】カリフォルニア州のニューサム知事は昨年大小997本の新しい法案に署名をし、その多くが年明け1月1日付けで施行された。その中から、多くのカリフォルニア州民に影響を及ぼすと思われるものを紹介する。

 【中絶費の引き下げ】中絶の際、民間の保険会社は被保険者から自己負担または控除額を徴収することができなくなる。「California Health Benefits Review Program」の分析によると、これに伴い投薬中絶の場合は543ドル、処置中絶の場合は887ドルが平均して節約される。昨年6月に、人工妊娠中絶の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」が連邦最高裁により覆されたことから起草された。州議会はまた、男性の精管切断術においても同様の法案を承認したが、これは2024年以降に施行される予定。

 【最低賃金の引き上げ】最低賃金が時給$15.50に引き上げられ、州内の約300万人の最低賃金労働者に影響を及ぼすことになる。2016年に成立した法案により制定され、インフレが引き金になった。

 【道路横切りの規制緩和】横断歩道がない道を横切るジェイウォーキングをしても、走行車とぶつかるなどの危険性がない場合は警官による違反チケットが切られなくなる。同様に、売春目的で路上を歩く娼婦などへの違反チケットも切られなくなる

 【トランスジェンダーの子供らを守る】性転換などの手術のためにカリフォルニア州を訪れたトランスジェンダーの子供が、在住の州の法案で罰せられることを防ぐ。実際には、治療についての州外への召喚状送達をブロックし、保険会社がジェンダー関連の治療について州外の機関と情報を共有することを禁じるなど、患者の性自認を尊重する内容。ホルモンセラピーや二次性徴を抑える治療なども対象。

 【サイバー・フラッシングを厳格化】望んでいないわいせつな情報を勝手に送りつけてくる「サイバー・フラッシング」の相手を訴えることが可能になる。ヌード写真や動画、性行為を描写したものなどがその例。裁判所は、経済的および非経済的な損害賠償を裁定できる上、被告側には$1,500~$30,000の罰金が科される。

 【入手しやすい住宅建設を促進】手頃な価格での住宅購入を可能にする2本の新法が施行された。閉鎖された店舗跡など、州内の商業用地を住宅建設に充てることを容易にする内容で、主に地方政府がその事業を阻止することを防ぐ。

 【重体の受刑者を早期釈放】カリフォルニア州は2023年、病気や瀕死の容態の囚人をより多く釈放する。非営利団体「Families Against Mandatory Minimums」によると、2015年1月から2021年4月までに、温情的措置による釈放を求めた受刑者304人のうち、実際に釈放されたのはわずか53人だった。

 【混乱をきたす会議の規制】市民らが政府に対する不満を表明する場であったパブリック・ミーティングだが、パンデミック時のさまざまな規制によって混乱をきたす場面が増えた。これに伴い新たに生まれた法案では、議長が一度警告を発した場合、その人物を会場から排除してもよいことを定めた。

 【ピンク・タックスを禁止】シャンプーやデオドラントなどの製品で、原材料などが同じであるにも関わらず、男性用に比べて女性用製品の値段をつり上げる、俗に言われる「ピンク・タックス」の上乗せを禁じるもの。新しい法案では、小売業者は「実質的に類似している」製品については、マーケティングに関係なく同じ価格を請求しなければならないとした。

 【新しい祝祭日】カリフォルニア州では2023年、3つの新しい州の祝日が制定された。それらは、米国で奴隷制が廃止されたことを祝う6月19日の「Juneteenth」、アジアの国々で祝われる旧正月で、旧暦の1月末から1月15日の間の最初の新月と重なる「Lunar New Year」、 第一次世界大戦中にオスマン帝国で何百万人ものアルメニア人が殺害されたことを認識する4月24日の「Armenian Genocide Remembrance Day」。

 【忌引き休暇の延長】愛する人が亡くなったとき、ほとんどの労働者に少なくとも5日間の休暇が保証されることになった。この法案は、政府機関および従業員5人以上の民間企業に適用される。「家族」とは、配偶者、子供、親、兄弟姉妹、祖父母、孫、ドメスティックパートナー、義理の親を指す。

 【給与公開を義務化】求人に応募しようと思っても、給料がいくらなのかわからなくてイライラした経験がある人も多いのでは?それを解決するために、カリフォルニア州では1月から、従業員15人以上の企業は、すべての求人情報に給与体系を記載しなければならなくなった。

 【住宅などから近距離での新規石油掘削を禁止】住宅や学校などから3,200フィート(約975メートル)以内での新規石油掘削を禁止する。ただ、1月から施行されたがまもなく住民投票によって保留となる可能性がある。石油・ガス団体によって組織されたキャンペーンは、有権者が2024年にこの法案を覆すことに期待した投票運動を組織中。現在、署名の確認が行われている。

 

 

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