「見えない、溺れる、吐きそう」。とほほ・・・のデビュー戦

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Vol.23 ▶︎誰も教えてくれなかった!ブイに捕まってもいいのだ

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ベニスビーチの高波が脳裏から離れないまま、ストロベリーフィールドに向かった。私の心配をよそに、ストロベリーフィールドは打って変わって穏やかな波。多少なりとも気持ちはリラックス。

とは言うものの、泳ぎが得意ではないことには変わりはない。緊張のため心拍数は上り、口がカラカラに渇いた状態でビーチで合図を待ち、いざスタート。

スイムは400m。一旦、西に向かって沖に出て、ブイを廻り北に方向転換し、再度ブイを越えて東方向にあるビーチに戻るルート。他の選手に蹴られないよう無我夢中で泳ぐ。時折、海水で咽ながら何とか進み続けること10分ちょっと。二つ目のブイを曲がった頃には、すっかり曇ってしまったゴーグルに正面から当たる日光が乱反射して、まったく前が見えない。半パニック状態で足が着くのを期待して立ち泳ぎをしてみたが、まだ岸からは遠い。海で視界が遮られることがこんなに怖いものかと思い知らされた。実際には、おそらく2~3分の出来事だったのだろうが、怖いのなんの。漸く足が砂地が触れた時の安堵感は数年たった今でも鮮明に記憶に残っている。 やっとの思いで陸地に辿り着くも、酸欠と海水の大量摂取で猛烈な吐き気。時間をかけてウェットスーツを脱ぎ、バイクに乗り換えイチゴ畑に向かった。

隣人に借りたロードバイク。べダルはクリップ式だが、当然バイク用のシューズは無く普通のランニングシューズ

涼しい風を浴びるうちに吐き気はなくなり、20kmのバイクを快走。最後に気温が上ってきたビーチ沿いを5km。これを以ってデビュー戦は、恐れていた海も何とか凌ぎ、ライフガードのお世話になることもなく完走できた。 初トライアスロンの感想は、「海は怖い、見えないのは最悪、溺れる寸前、吐きそう」と、スイムの記憶ばかりが蘇り全くぱっとしない。その一方で、怖いもの見たさで参加した初レースを無事乗り越えて、思い描いていたクールなトライアスリートからは程遠い出来ながら、達成感は大きかった。流石に自分のバイクを持っていないとトライアスリートとは呼べない。先ずはバイクを買って・・・とトライアスロンの道にはまっていく。

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ワンポイント・アドバイス

1. 泳ぎ方は二の次  トライアスロンは、様々な装備が必要で、ただでさえ始めるハードルが高いのに加え、スイムは多くの人が苦手とする難関。テレビでの中継などでは、みなクロールでガンガンと泳いでいる。私もレース参加前は、平泳ぎでも大丈夫かなぁ、と考えていた。ところが実際に参加してみると(私のような)後方集団を形成する素人は、制限時間内に泳ぎきることが第一目標。平泳ぎはもちろんの事、長い距離のレースでは、背泳ぎとも言えない状態でラッコの様にプカプカ浮いて休憩している人も見かける。更にブイにつかまって息を整えるのもレース規定上はOK。誰も教えてくれなかった事だが、気合を入れて泳ぎ続ける必要がないと分かるだけで、随分気持ちが楽になる。クロールは前が見難いので、オープンウォーターで大分練習をしないと、どんどん曲がっていってしまう。一方、平泳ぎは前方確認が簡単。初めてのレース参加の人や、トライアスロンを始めたいけど、スイムがなぁ・・・と考えている人は、どんなスタイルでもいいので、溺れずに時間内に泳ぎきることを目標にして気楽に始めてみよう。

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2. ゴーグルは大事 初レースの教訓からゴーグルの重要さを痛感。曇り止めが良く効き、顔にフィットすることが非常に大事。使っていると曇り止め機能が落ちるので、普段のプールの練習では古いゴーグルを使い、レース用には出来るだけ新しい状態で使っている。

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それでは、楽しいレースを!

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(8/16/2022)


 

Nick D (ニックディー)

コロンビア、メキシコなど中南米での十数年の生活を経て、2007年よりロサンゼルス在住。100マイルトレイルラン、アイアンマンレースなどチャレンジを見つけては野山を駈け回る毎日。「アウトドアを通して人生を豊かに」をモットーにブログや雑誌への寄稿を通して執筆活動中。

http://nick-d.blog.jp

 


 

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