カメラに向かって喋る

これってテレビ番組のロケでもYouTubeのロケでも普通ですよね。よく言う “カメラ目線” は視聴者から見ても説得力がある。料理番組や行楽地温泉紹介、夜の街角歩き、健康番組などでも、当然レポーターはカメラに向かって話し出す。楽しい時には必要以上の笑顔で、悲しい時は必要以上に低い声で、災害時は現場に立ち大声で注意を促す、これも普通ですよね。視聴者も当たり前に受け止めています。長年テレビが培ってきた手法です。

先日友人が始めたYouTubeを見たら、同じように行楽地に行って、それっぽいリアクションと少し高めの声でリポートをしていた。見慣れた友人がテレビのリポーターと同じ事をやっていたのです。普段あんな声のトーンで話さないし、あんなアクションしないのに・・・これってどうなんだろう?カメラに向かって喋る必要はあるのか?誰かわからない視聴者に愛想振りまくことって必要ないかも、そんなことが頭をよぎったのだ。

この疑問、私にも当然当てはまる。テリー伊藤がカメラに向かってペラペラ話しているのを見たくないのではないか。飽きてないのか。イヤきっと飽きている! 熟考・・・YouTube『お笑いバックドロップ』一人企画では私 “カメラに向かって” 話さない事に決めました。

先日取材で海抜800メートルに位置する富士吉田市に行った。ここが最高にいいところでした。富士浅間神社に続く本町通り近辺が、何とも言えない昭和の佇まいを今に残した、日本人なら誰でも好きになる街並みで、映画『オールウェーズ!!3丁目の夕日』のロケもここで撮影したそうだ。1000年以上前から織物の名産地として知られ、昭和の時代は機械織物産業が大変な賑わい華やかだった。ディープな西裏地区には遊郭の街並みが色濃く残っている。当時の栄華を感じるレトロな建物や景観がたまらない。

 

 

そして私が最高に気になったのが昭和30年代のまま取り残された姿の「百貨店まるさくたなべ」、ビックリするほどダサいのだ!! そこだけ時が完全に止まっている。陳列されている商品が全て時代遅れ。(私、爺さんが着てそうなポロシャツ買いました。)若者は絶対に行かないし話題にもしないお店。土曜日だというのにまったくお客さんがいない。1時間ほど滞在したが本当にお客さんが来ない!こちらが心配になってくる。このままでは経営も大変では。昭和のレトロ遺産そのものの「百貨店まるさくたなべ」が閉業されては絶対に困る!

そこで私考えました「百貨店まるさくたなべ」復活大作戦を!社長の田辺さんともコンタクト取りました。時間ください。実行します!もちろんその時は “カメラ目線なし” でドキメンタリー撮影やりますよ!お楽しみに。

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■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

 

 

 

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