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北野正寛
Masahiro Kitano
研究者
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USC(南カリフォルニア大学)でがん細胞の研究に従事する北野正寛さん。オフタイムは・・・極上のビール造りを研究中。2021年南カリフォルニアホームブリューコンテストで200以上のエントリーの中から優勝。写真で、背後にみえるのは、自身で作ったビールサーバー。
インスタグラム https://www.instagram.com/masarunsbeerbicycle/
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渡米して10年、USC(南カリフォルニア大学)でがん細胞の研究に従事する北野正寛さん。「皮膚がんの研究を行っています。ゼブラフィッシュという熱帯魚を使って、がんができる過程を観察し、がんがどのように悪性化するかなどを遺伝子レベルで調べています。研究グループに属してはいますが、自分で研究テーマを決めて、そのための必要な予算を自分で獲得し、自分で決めたプランに沿って研究を進めています。研究結果を出して論文などで発表するというのがゴールです」。北野さんら研究者による努力の蓄積が、がん発生の抑制や予防に繋がる最先端医療を生み出す大きな働きを担っている。
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日本にいた頃は昼夜ラボで馬車馬のように研究に明け暮れていたが、アメリカではそれとは違った働き方をしている研究者が少なくないと話す。「これは西海岸特有の気質なのか、周りの研究者たちも自分が『今日はここまで』と決めたら、スイッチをオフにして家に帰ります。仕事とプライベートをうまく切り替えていますね。ロサンゼルスで研究を始めて10年。そんなワークスタイルができるところは気に入っています」
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白衣姿で顕微鏡をのぞき込んでいるストイックな研究者のイメージが想像できる北野さんだが、オフタイムに情熱を注いでいることとは何なのだろうか。聞いてみると、なかなか伺いしれない答えが返ってきた。
「自宅でビールを作っています。これは私も知らなかったことなのですが、ビール造りをするのはアメリカでは意外と一般的な趣味です。初心者用のキットはアマゾンでも買えます。ただそこからハマってしまって抜け出せなくなってしまう人は少なくないようです(笑)」
『ビール造り』と『細胞の研究』は一見、まったく異なる二つのことだが・・・「麦に含まれる砂糖を酵母という微生物が発酵することでアルコールになる。そして麦と酵母とホップが作り出す化学物質が味と香りになる。さらにビールの温度、粘度、二酸化炭素の濃度が触覚を刺激する。これらを総合するとビール造りも結局は生物学と化学、物理学の融合体といえます」
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美味しいビールに欠かせないのが、ビールを美味しく注げるビールサーバーということで、これも自分で設計し材料を買ってカスタムメイドした。完成させるのに1ヶ月かかったビールサーバーは8種類のビールがそれぞれ好みの二酸化炭素濃度でサーブできるこだわりの装置だ。「最近は、酸味の効いたサワーエールを好んで作っています。仲間のホームブリュワーやプロのブリュワーに味見してもらい試行錯誤を重ねて、自分好みのビールに近づいていくところは、普段仕事としている研究にも似ています」
趣味であるマラソンへの情熱もフルマラソンを超えてウルトラマラソンに挑むレベル。走り終えた後のビール。格別なことは間違いない。
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(5/10/2022)
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