お笑い芸人予備校に行ってきました

 年に何回か講演を頼まれることがある。爆笑問題が所属しているタイタン事務所の光代社長から「将来お笑い芸人を目指す生徒さんの授業の講師をお願いします!」の依頼だった。

そうなんです、タイタンはお笑い芸人と若手クリエイターの育成の学校を開校している。お笑い番組で育った私なので、若手が育ってくれるのは大歓迎。むしろお笑い界の恩返しのつもりで快諾しました!講義内容はこうです!! タイトル『頭脳フル回転で考えてください!』

 

 

1番目のテーマは「自分がどんなタイプの人間なのか考える。持ち味は?弱点は?」 例えば野球選手ならば、4番バッターなのか1番バッターなのか先発ピッチャーなのか抑えなのか、これ知っていると実は芸人としてのポジションを掴みやすい。お笑いが作りやすいのだ。

 

2番目のテーマ「観察力を磨く」

「貴方の身の周りの面白かった出来事を教えてください。ただし3分以内で端的に面白く話して。」お笑い芸人を目指しているのに意外と皆この質問に答えられていなかった。ダラダラ話せてもダチョウ俱楽部のように「掴みはOK!」とは行かない。日記のように時間経過を追って話してしまうのだ。例えば「昨日新宿に遊びに行って、お腹が空いたのでラーメン屋に入ったら、食べ始めから終わりまで携帯電話で話している女性がいました!」この話の持って行き方は普通です。舞台では「皆聞いて!昨日新宿でとんでもない女を発見!凄い時代がやってきた!ラーメン屋でラーメンとスマホを同時に食べてる女が!! ビックリしました。」こんな感じで荒っぽくても先ずは興味を持たせることが大事。

 

3番目のテーマは「客観的に世の中を見ない」

積極的に当事者になる。黙ってないでペラペラ喋り倒す。今のお笑い芸人さんは第三者的立場で漫才をするコンビやインテリタイプが主流だが、これから売り出すのなら体当たり芸で中央突破してもらいたいのだ!

 

4番目のテーマは「どんな厳しい状況でも面白い事しか考えない」

あの伊丹十三監督も、名作『お葬式』を制作したきっかけは奥さんの宮本信子さんの父親が亡くなった時に、これは映画になると思い脚本を書き上げ、9か月後にはクランクインしているのだ。芸人を目指すなら、身内の不幸をも芸にするくらいの逞しさが必要! 最後に「朝起きたら今日のスケジュールで最悪の出来事をシュミレーショする」 これ考えると逆に穏やかな1日が送れる。寝る時に幸せ気分にもなれる。

こんな事を講義で話してきた。凄い熱気と爆笑の1時間半の授業でした。いつの日かこの生徒の中からスターが出て来る事を願って会場を後にしました!

 

 

 

 

■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

 

 

 

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