改めて感嘆する脳活性化のプレーンパワー =認知症予防に効果?=

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アメリカ101 第128回

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また誕生日が巡ってきました。還暦、古希、喜寿、傘寿を経て、次の大きな区切りである米寿、そして卒寿という加齢の道を経るに伴い、肉体面での衰えもさることながら、徐々に認知症の可能性の高まりに直面しているとの意識から、ここ5年ほど、その発症を防止する「受動的な音楽療法」を実践していますので、自らをguinea pig(モルモット)とした、この我流の“民間療法”を紹介するのが今回のコラムです。  

 

認知症の中でもCognitive(認知)機能の低下で最も一般的なのはアルツハイマー型認知症です。その防止には「脳の活性化」が不可欠だといわれていますが、単純に音楽を聴く」という受動的な「音(旋律/メロディー)を楽しみながら聴く」という「音楽行為」で、意識しないで「脳を働かせる」のが、このメソッドの狙いです。  

 

プロの歌手やカラオケ愛好家の間では「持ち歌」というのがあります。どのようなミュージックシーンでも、楽譜を見ることなく、すぐに歌うことができるということでしょう。その伝で、「聴き歌」はどうでしょう。「聴いたら、すぐにそのメロディーを頭の中で思い浮かぶことができ、その旋律の流れを先取りハミングできる歌」ということでしょうか。そんな筆者の「聴き歌」は確実に3万曲をオーバーしており、5万曲程度にも達すると推定しています。  

 

どうして、それが分かるのかは、ここ数年ブーム状態にある音楽ストリーミングサービスを通じて、自分の好みの楽曲を集大成するプレイリスト(playlist)に収録した曲数として記されているからです。アップル・ミュージック、アマゾン・ミュージック・アンリミテッド、スポティファイ(Spotify)、Pandoraといった、定額での音楽聴き放題ができるサービスは、それぞれ7500万曲から9000万曲が収納されており、曲名をクリックすれば瞬時で聴くことができ、それを「モーツァルトのオペラ」「ベートーベン交響曲全集」「美空ひばり」といったタイトルをつけたプレイリストのファイルに“投入”すれば、そのプレイリストが何時でも聴取可能となります。そして、個々のプレイリストには全体の時間や曲数が記されています。  

 

筆者が利用しているSpotyfyは月額10ドルで、古今東西の音楽が収録されており、日本語でも検索可能。しかも日本発信の歌謡曲から演歌、Jポップが充実しています。  

 

このサービス、CM入りとなりますが、非メンバーでも無料で、かなり利用できます。具体的には、Spotyfyをグーグル検索し、無料使用に必要な個人資料を入力すればOK。アクセスが可能となったら、例えば「検索」欄に「shigebumi sato」と入力すれば、筆者の無料聴取向けの81のプレイリストが表示されます。最長の「ご当地ソング」リストは全部で98時間です。森進一の「襟裳岬」、青江三奈の「伊勢佐木町ブルース」、旬のソプラノ歌手エリナ・ガランチャの「Brazil」といった特定の場所、都市、町などに言及した曲を集めたプレイリストという独自の珍リストです。

 

リストアップしてある曲は、タイトルや歌手名などを知らなくとも、メロディーがどのように続くのかは、すべて意識せずに頭の中で先読みフォローすることができます。Spotifyの配信サービスでは、個々のプレイリストは1万曲が限度ですが、この81のリストのほかに、筆者は数百曲から数千曲から成る無数のプレイリストを作成してあります。全部合わせると、小学唱歌からクラシック、ジャズ、タンゴなどなど一生聴いてきた数万以上にも及ぶメロディが脳内の蓄積されていることになり、毎回聴く度に、“脳内コンピューター”が瞬時に反応するという「脳の活性化」が作動しているとすれば、認知症予防に大きな役割を演じている筈だと確信している次第です。

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著者/ 佐藤成文(さとう しげふみ)

通称:セイブン

1940年東京出身。早稲田大学政治経済部政治学科卒。時事通信社入社、海外勤務と外信部勤務を繰り返す。サイゴン(現ホーチミン市)、カイロ、ベイルート、ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス各支局長を歴任し、2000年定年退社。現在フリーランスのジャーナリストとしてロサンゼルス在住。


(3/29/2021)

 

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