田之頭 史華: 作り手と使い手を繋ぐ “伝い手”「承TSUNAGU-PROJECT」

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田之頭 史華
Fumika Tanokashira

刃物文化伝承

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オレンジカウンティを拠点に、刃物文化を伝える「承TSUNAGU-PROJECT」を行っている田之頭史華さん。ソーシャルメディアを中心に、和包丁の種類や魅力、用途による包丁の選び方などを紹介している。 日本の刃物の魅力が満載!
ウェブサイト: https://tsunagu-pjt.com/
インスタグラム: https://www.instagram.com/tsunaguonwa/

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古来より日本各地で独自の技術により発展していった日本の刃物文化。中でも刃物の町といわれる大阪府堺市は、現在でもプロ仕様の包丁のシェア90%を誇る。「古くから受け継がれてきた刃物文化ですが、後継者不足のため職人が減っているという危機にさらされています。これには、育成ができる受け入れ先がない、カット野菜や切り身魚の販売による包丁離れなど、多くの原因があります」と語るのは、堺市出身の田之頭史華さん。日本刀や和包丁をはじめとした刃物の歴史や魅力、制作工程や技術の紹介、伝統工芸品としての存在価値など、あらゆる視点から刃物文化を伝える「承TSUNAGU-PROJECT」を行っている。

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田之頭さんと刃物文化の出会いは約10年前。農機具メーカーのテクニカル部門に勤務していた頃だった。「当時、日本で人気アニメと伝統文化である日本刀のコラボレーションによる展示会が開催されたんです。同時期に、刀をテーマにしたゲームも発売されるなど、アニメファンやゲームファン、これまで刀文化に触れたことのなかった若年層にもその魅力を広げる突破口となっていました」。しかし、日本刀と未来を繋げる新しい形の企画が注目される一方で、どんどん加速する刃物業界の後継者不足。田之頭さんは、堺をはじめ各地の日本刀や包丁造りの現場を訪れて職人さんを取材して話を聞いたり、作られる工程を目にしながら、作り手と使い手を繋ぐための〝伝い手〟としての活動を深めていった。

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結婚を機に2020年にオレンジカウンティに移住。現在、ソーシャルメディアを中心に、和包丁の種類や魅力、用途による包丁の選び方などを紹介するほか、今後はロサンゼルスで堺刃物の取り扱いやオンラインでの販売も増やしていきたいと話す。「匠の手で鍛錬された鋼包丁の素晴らしい切れ味。大事に研いで刃の切れ味を保つことにより、何十年と使えるのも大きな魅力です」  和包丁は日本独特のものであり、食文化とともに発展したともいえる。「肉を扱う洋包丁とは違い、日本では古くから魚を食べる習慣があるので、和包丁は魚料理に特化した片刃包丁が一般的。地方の習わしによって、鰻をさばく鰻包丁の使い方にも違いがあります。武士の世界で腹は切腹を表わすことから、関東では鰻を腹から切らずに背骨から切る。関西では、腹を割って話す文化があるから、鰻を腹から切る。そんな習慣・文化が深く関わっているのも刃物文化の奥深さでもあります」

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器の欠けた部分を金で修繕して使う「金継ぎ」ワークショップも開始。

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刃物文化伝承に加えて、最近では、器の欠けた部分を金で修繕して使う「金継ぎ」のワークショップも開始した田之頭さん。「『壊れたらそれでおしまい』ではなく、日本人のもったいない文化というか、繕ったり直したりして使い続けるところが健気だなと、そこにも愛着を感じますね」。

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j.

(2/22/2022)

 

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