7万240人が座席を埋める“満員御礼” スーパーボウルLVIを観る

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アメリカ101 第121回

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いよいよ、第56回スーパーボウルが今週末の日曜日(2月13日)にイングルウッドのソーファイ・スタジアムで開催されます。フロリダ州タンパで行われた昨年のスーパーボウルはコロナ禍とあって、会場となったレイモンド・ジェームス・スタジアムでは、観客を定員の37%に相当する2万2000人に制限した試合だったのですが、今回はロサンゼルス郡保健当局の屋外スポーツ開催ガイドランに沿って、KN95マスク着用、ワクチン接種証明、PCRテスト証明を義務付けることで制限なしとなっており、7万240人が座席を埋める“満員御礼”となる見通しです。

また試合そのものに加えて見所のハーフタイム・ショーではドクター・ドレを先頭に、実にトップアーティスト5人が登場すると豪華版です。そしてなによりも、出場チーム不明のままの5年前にロサンゼルス開催が決まったのですが、NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)加盟32チームのうち、地元チームであるラムズが勝ち進んで出場を果たすという夢のような展開となった今回のスーパーボウルは、“Sports Capital of the World”(スポーツの世界首都)であり“Entertainment Capital of the World”(娯楽の世界首都)としてのロサンゼルスの魅力満開を示すものでしょう。   スーパーボウルは、いまやアメリカの“国技”となったアメリカン・フットボールの王者を決める一大スポーツ・イベントであるだけでなく、今回のハーフタイム・ショーの破格なスター・ラインアップが示すように、広義の「アメリカ文化を覗く窓」ともなっており、全世界での視聴者数は推定1億人をオーバーするとのこと。

今回のスーパーボウルでは、例年以上の見所がハーフタイム・ショーです。試合開始に先立つプレゲーム・セレモニー」では、まず“第二の国歌”「アメリカ・ザ・ビューティフル」(America the Beautiful)を歌うのは、サウス・ロサンゼルス(旧サウスセントラル)生まれで、母親がラティーノ・日系というR&Bミュージシャン、ジャネイ・アイコ。そして国歌「星条旗」斉唱は、初の黒人女性・カントリー歌手ミッキー・ガイトンという、多様な人種・民族出身者で構成される「世界の首都」ロサンゼルスを象徴するラインアップです。

本番のハーフタイム・ショーは、ドクター・ドレに加えて、ケンドリック・ラマー、エミネム、メアリー・J・ブライジ、スヌーピー・ドッグという顔ぶれです。それこそソロ公演でもソーファイ・スタジアムを満員にできるであろうスーパースター揃いです。筆者のように、ヒップホップやR&B、ラップとは無縁な後期高齢者でも、歌唱を耳にしたことはなくとも、名前だけは知っているエンタメ業界のシンガーたちで、世界のミュージックシーンでのアメリカの圧倒的な存在感を示すものとなりそうです。

それだけに、入場料は天井知らず。ロサンゼルス・タイムス紙によると、「定価」はあってもなきがごとしというレベルで、ラムズの出場が決まった2週間前のプレイオフ直後の時点での平均は1万540ドル。転売市場でこの水準を試合当日まで維持すれば、スーパーボウルだけでなく、スポーツやコンサートなどの、あらゆるライブイベントの史上最高額となるようです。最安値でも約5600ドル、50ヤードライン付近の“かぶり付き席”では、食事などの特典付きでひとり5700ドルということですから、庶民にとってはテレビ観戦がベストということでしょう。

「スーパーボウルLVI」のゲーム開始は13日午後3時半。プレゲームからの興奮を分かち合うなら、この日はお昼前からNBCテレビ(第4チャンネル)に合わせてテレビの前に座り込むのが“正解”でしょう。

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著者/ 佐藤成文(さとう しげふみ)

通称:セイブン

1940年東京出身。早稲田大学政治経済部政治学科卒。時事通信社入社、海外勤務と外信部勤務を繰り返す。サイゴン(現ホーチミン市)、カイロ、ベイルート、ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス各支局長を歴任し、2000年定年退社。現在フリーランスのジャーナリストとしてロサンゼルス在住。


(2/8/2021)

 

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