私が毎週月曜日出演しているニッポン放送『垣花正あなたとハッピー』の中で毎日ラジオショッピングの時間がある。全国の美味しい名産品から格安電化製品、高級貴金属、家のリホーム、足つぼマッサージ器まで多種多様だ。
先日紹介したのは北海道の郷土料理、数の子、スルメ、昆布を醬油で漬け込んだ私の大好きな「松前漬け」。有難いことに商品紹介の時には私にも試食のチャンスがある。
これが嬉しいのだ!早速頂くことに。何故か甘いのだ。私の若い頃に食べた松前漬けのイメージとは違う。もう一口食べてもやっぱり甘い。これって・・・?
仕入担当者に聞くと「海鮮物なので昔は辛かったのですが、今は女性や子供さんの好みでかなり甘く調理しています。」の返事。そうだったのか!松前漬けの味の主導権はお父さんから離れて行ったのか。考えてみれば「大甘革命」はこの食品だけではない。
酸っぱいはずの梅干し。最近では「ハニー梅干し」と変身してスーパーマーケットにいるではないか。梅干しは酸っぱいもの!と子供の頃から信じていたのに。以前日本に来たばかりの外国人にメチャクチャ酸っぱい梅干しを食べさせてリアクションを見るドッキリロケをやったが、それも今は昔に・・・。
そう言えば「岩海苔」も徐々に甘みが増してきた。本来なら海辺の岩の傍にあるので甘い訳が無いのに。今やちびっ子達は海苔は最初から甘いと思っているかも知れない。さらに謎なのは食パンまでもが甘くなっている。それも最近大人気の「高級食パン」ほど甘いのだ。甘い食パンのハムサンドイッチはチョット抵抗感が・・・。
謎はまだまだ続く。「焼き芋」が甘すぎないか! 今でも冬になると焼き芋屋さんが渋い声を出して売りに来る日本の風物詩。昔「栗より甘い13里」というサツマイモの宣伝文句があったが、紅芋はまるでお菓子のようだ。完全に甘いのだ。生産業者の皆さんのニーズに応えて努力した証だが・・・何故か普通の芋が恋しくなってくる。
果物業界もこの10年大甘旋風吹き荒れている!先頭走る2トップは葡萄と柿。もう世間は葡萄が酸っぱかったことを完全に忘れている。昭和のテレビを見るとレポーターが酸っぱい顔して食べていたのだ。昭和に無かったシャインマスカットを食べると「甘いので皮まで食べて下さい」と八百屋さんにアドバイスされる始末。柿も完全に甘い。種まで無い。渋柿などという単語はこの世から無くなっている!
これからどんな大甘時代が来るのか!回転寿司も「甘いいくら」「甘いネギトロ巻き」が何時登場してもおかしくない!凄い時代がやってくるぞ~!
■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。