朝日新聞の難しい立ち位置

8月1日付け朝日新聞朝刊を読んで複雑な気持ちになった。1面、旧ソ連の核実験場跡の写真が大きく紹介されている。「グローバルヒバクシャ76」をテーマに連載がスタートして76の広島へと続く。

2面は世界の主な核実験場や核施設の地図がカラーで掲載されている。カザフスタンと広島へと繋いだ悲しみの歌と、お互いの都市に共通していた「貧しい生活が重なった光景」。3面は日本における新型コロナウイルス感染者数過去最多報道。自宅療養1万人超すの記事が。論説委員の「日曜に想う」でもテーマは「母の戦争の記憶、受け継ぐ意味」と、ここでも戦争がテーマだ。

8面社説ではオリンピックに触れ、朝日新聞らしく苦言を呈する。「安全、安心を見直して」と題して、ウイルスが国外から持ち込まれるのも日本から国外に広がるのも防ぐという約束はどこまで守れるのか。かねてから懸案の酷暑対策は出来ているのか。他にも、選手や関係者を乗せる専用バスの運行トラベルや弁当の大量破棄問題、大会の理念そのものに疑問符つくなど厳しい言葉が続く。私気持ちが重くなってきました。

そして9面の見識者のコラムでは国立大学教授の「五輪の権威、地に落ちた」だ。コロナ禍で開催するのは「人間の尊厳」に重きを置くという根本理念に反すると。さらに、選手が「バブル」の中で行動が制限され、ボランティアの人々と交流出来ないのはいかがなものかと。行き過ぎた商業主義もいかがなものかと。至極もっともなお言葉だが・・・。編集委員の札幌市が立候補している冬季オリンピックの問題点も指摘している。

しかしなのだ。日曜の朝、私が朝刊に求めていたのはオリンピックの楽しい記事なのだ。やっとたどり着いた15面で、五輪特集を飾ったのが、多田選手、山縣選手、小池選手「3人とも男子100メートル予選敗退」の大見出し。記事でも89年ぶりの決勝進出どころかすべて予選落ち!と冷たい言葉。

予選落ちかもしれないが400メートルリレーがあるのに温かみが無さ過ぎるじゃないか朝日新聞‼

16面17面で活躍した選手を紹介しているが、何か空しくなってしまった。29面の社会面では「五輪ボランティア曇り顔」なのだ。全体を読み終えた後、寝不足の朝のような暗い気持ちになってしまった。

 

 

改めて朝日を考えてみた。もしかしたら読者に楽しい事を伝える能力が欠落しているのではないか。

確かにジャーナリストはいつの時代も問題意識を持つことは必要だが、日曜の朝からこんな記事の連続だと気が滅入ってしまう。これではスケートボード、サーフィン好きの若者層などが朝日新聞を購読するとは到底思えない。高齢者だってもっと楽しい記事を望んでいるはずだ。
時代とズレていないか。3年後のパリ大会ではダンスも正式種目に‼

活字離れの今、正念場ですよ、朝日新聞さん!

 

 

 

■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

 

 

 

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