今年10月26日から11日間、新型コロナの影響で中止されていた「東京モーターショー」が、名称を「ジャパンモビリティショー」と変更して、東京江東区の「ビックサイト」で4年振りに開催される。日本自動車工業会は「自動運転などの普及に伴い新たな車作りにはソフトウェアが重要であり異業種との連携は欠かせない」としており、自動車関連以外の企業を含む220社が既に出展を決めており、加えてスタートアップアップ企業100社も出展する予定らしい。会場では企業や投資家がビジネスプランをPR出来る場を設けるなど、モーターショーが大きく生まれ変わるのだ。
東京モーターショーと言えば、かつては「世界3大モーターショー」のひとつと言われた時代もあったが、中国、インドなどの経済的躍進と日本人の軽自動車志向による高級車買い控えの傾向が如実となり、ここ数年はヨーロッパの高級自動車メーカーは出展もしない現状がある。今や世界から取り残された感も否めないのだ。今回、内容を大幅に変えたのにはそんな経緯がある。
それにしても、20世紀までは、カッコイイ車が有れば異性にモテル時代だった。やれ新しいオープンカーが出た、新型デートカーはどうだなどと新車が出るたびに会社や学校ではその話題で持ち切りになった。モーターショーの会場も各自動車メーカーが競って華やかな女性を車の横にはべらせ、男性にとっては車を見るのか、女性を見るのか嬉しい選択に迫られた夢の時代だった。時は移り、今や女性が車購入の主導権を握っている。男性志向の演出はもう出来ないのだ。
話を戻そう。今回のモーターショーのテーマ「新たなソフトウェア」って何?ここがポイント。私思うのですが、これからは車好きだけが車開発に携わるのではなく、楽しいこと好きな人も開発に必要なのではないか。「走る、止まる、曲がる、燃費」などのハード面は、どのメーカーも実は遜色ないのでは。では、車に乗って楽しむソフトを考えてみたい。「世界中の車好きとの同時通訳付き交流」「高級住宅街スターお住まいマップ」「純情キャバクラ嬢のいるお店解説」「絶対若返りインドエステ店紹介」「車内で教えるお子様英会話スクール」等々。話が脱線気味だがこんなアプリもあったら楽しい。「ハリウッドセレブのヨガレッスン」や「各地のパワースポット紹介」「マジック教室」なども盛り上がりそう。流行のSUVでの家族車中泊も一段と楽しくなること間違いなし!
心配なのは、新しいアイディア、ソフトウェアに慎重な日本のメーカーよりも、韓国、中国、インド辺りの車新興国が先に開発するのではないかということ。EV車で後塵を拝した日本、気がかりだ!頑張ってよ!
■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。