Vol.33 ハーフ・ドーム(ヨセミテ国立公園)カリフォルニア州
通常はサブドーム前で、レンジャーにパーミット(許可証)の提示を求められる。パーミット無しの登山の場合は、ここから先には行かれない。
実は今回、途中でサンフランシスコから来た学生グループの一員に遭遇した。10人分くらいの許可証を持っているが、友達の何人かは二日酔いで来れないので余分がある。良かったら使ってくれ、という事で、ひょんな偶然で許可証ゲットした。
サブドームはケーブルはないが、階段状の急なスイッチバックの登りで息が上る。サブドームを越えると見えてくるハーフドームは、正面から見るとほぼ垂直の壁に見える。ケーブル(くさり場)に取り掛かる前に、ここまで使ってきたトレッキング・ポールをしまう。バックパック横のポケットに収納している水筒は途中で落下しないように、カラビナで固定し、ストラップをきつく閉める。更に、持参したクイックドローを取り出す。これが非常に役に立つことになる。
ハーフドームは正面から見ると垂直の壁のように見えるが、実際には手放しで立てる程度の傾斜。ケーブルが設置され、2~3メートルおきに枕木のようなものがあるので、足元は割りと安定している。とは言っても下を見ると、ハーフドームの高さでだけではなく、バレーまでのおよそ1500メートルが丸見え。時々死亡事故もあるので、油断は禁物だ。準備してきたクイックドローの一方をバックパックの腰ベルトに設置し、もう一方をケーブルに繋ぎ、万が一足を滑らせても安心。家内もこれで精神的に随分と楽になったようで、途中恐怖で凍りつくことなく、一歩一歩足を進め、途中でカメラに微笑む余裕も見せながら、無事登頂に成功! 頂上は意外に平らで、サッカーが出来るくらいの広さがある印象である。眺めは、眼下にヨセミテバレー、更には遠くの峰々も一望できる感動の絶景。持参したランチも事のほか美味しい。頂上でしばし至福の時間を過ごした後、下山の途へ。上りよりも下りの方が恐怖心が増すだろうと、ある程度の覚悟していたが、クイックドローがここでも威力を発揮し、怖がり屋の家内にして、笑顔を見せながら無事ケーブル部分を終了した。
5月末から10月のシーズン中だけ設置される、ケーブルと枕木
地球を走る
アウトドア・アドベンチャーのすすめ
Nick D (ニックディー)
コロンビア、メキシコなど中南米での十数年の生活を経て、2007年よりロサンゼルス在住。100マイルトレイルラン、アイアンマンレースなどチャレンジを見つけては野山を駈けまわる毎日。
「アウトドアを通して人生を豊かに」をモットーにブログや雑誌への寄稿を通して執筆活動中。